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【特集】伊藤忠エネクス Research Memo(4):外部要因を除いた実質ベースでは計画通り損益改善が進む


■今後の業績見通し

2016年3月期通期業績について伊藤忠エネクス<8133>は、売上高1,350,000百万円(前期比1.7%減)、営業利益16,800百万円(同28.2%増)、税引前利益15,200百万円(同25.1%増)、純利益8,200百万円(同49.0%増)を予想している。これらの予想値に、期初予想から変更はない。

営業利益は前期実績からの増益幅が3,700百万円と大幅なものとなっている。しかし、この内訳として、前期にあった原油価格下落による在庫影響額(ホームライフ事業を中心に計3,000百万円程度)が今期はなくなるという想定となっていることが、増益要因の中核を占めている。その意味では決して強気に過ぎる予想ではないと弊社では評価している。

今第1四半期においては、原油価格が下落基調をたどり、その傾向は第2四半期に入っても続いている。その結果、第1四半期において数億円の在庫影響額が発生した。ただし、その額は前年同期を大きく下回っているもようだ。足元の原油価格の動きから見て、第2四半期においても在庫影響額が発生する可能性が大きい。こうした状況に続けば、前述の3,200百万円の増益要因が圧縮され、営業利益が未達になることが懸念される。しかしながら、現時点においてそれを織り込むのは時期尚早であると弊社では考えている。それは、販売数量の面では上期は比重が小さく下期はヘビーであることと、下期に原油価格が上昇に転じれば在庫影響額が利益拡大要因として効いてきて、第1四半期のマイナスの在庫影響額を吸収するという可能性もあるからである。また、下期の天候要因も需要量を大きく変動させ、業績に大きな影響を及ぼす。同社の業績について上振れ、下振れを論ずるには、もうしばらく時間の経過を待つ必要があるというのが弊社の見解だ。

事業の実態面を見ると、電力・ユーティリティ事業が着実に増収増益ペースを堅持しているほか、カーライフ事業においてもコスト削減や業務効率性向上、カーライフバリューチェーンの強化によるシナジー創出などの収益改善がみられる。エネルギートレード事業においてもアスファルト以外の主要製品分野では損益改善が実現できている。このように、天候や原油価格といった外部要因を除いた実質的なベースでは計画どおりかそれ以上のペースで損益改善が進んでいることが注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《YF》

 提供:フィスコ

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