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【市況】高岡隆一の【今日のポイントとヒント】 「安倍政権の不人気が政策を縛る」


◆「株高+円安」の恩恵を実感できない国民

 日本株の調整が厳しくなっている。中国景気減速に対する懸念は予想以上に強いこと。さらにECBが追加の金融緩和に言及、対ユーロでも対ドルでも円高が進み、日本企業の上方修正期待が徐々に縮小していること。これらにより調整の長期化懸念が強まっている。

 チャート面では、ユーロ円の週足は135円を割り込む円高になり、135円を下限とするもみ合いを円高方向にブレイク。また、ドル円の週足も120円を下限とするもみ合いを円高方向にブレイクしている。一部には日銀の金融緩和を求める声もあるが、安倍政権の支持率低下という現状では難しいだろう。

 日本国民1億3000万人は、株高+円安が国民資産の増加(年金も)をもたらすことにより恩恵を受けている。公的年金の運用益だけで50~60兆円、民主党時代より増えているだろう。時価総額なら350兆円も増加している。海外資産の増加分、日本の土地の評価、もろもろを合計すれば600兆円ぐらいは増えていると思う。この増加分がわれわれの生活を支えている。

 にもかかわらずメディアは、円安による物価高ばかりを強調し、数百兆円にのぼる日本の国富増加を伝えない。だから、多くの国民は円安によるデメリットしか知らない、実感できないそういう社会になっている。安倍政権の政策の評判が悪いのは上記の要因があると思う。

◆トレンド好転まで待つも良し

 故に、さらなる金融緩和→円安→物価高→国民の不満増加→安倍政権の支持率低下、この懸念がある以上、日銀は動けない。そう読んでいる投資家・投機筋が円買いを強め「円高+株安」で推移。だが、これを断ち切る政策や材料が見つからない。それが底入れできない日本株の理由なのだろう。

 8月25日安値(夜間)1万7160円は下値と思うが、次の目安としては売られ過ぎの25日線カイリ率▲15%が1万6600円、PER13倍まで売られたら1万6300円。この辺かそれより手前で底入れとなるだろうか……。

 もちろん、材料が出なければ下げ止まっても底練りの長期化も有り得るため、トレンド好転まで待つも良しと考える。

2015年9月7日 記

情報提供:高岡隆一の株価天気予報


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