【市況】【植木靖男の相場展望】
「安値もみ合いが続くか」
●8月下旬安値でほぼ底入れの公算
株式市場は大波乱局面に突入している。市場はその背景として、中国株の急落に伴う中国景気の大幅減速懸念、元通貨の切り下げ、米国の利上げ接近などを指摘している。
一方、需給面でCTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー=ヘッジファンドの一種)によるコンピュータープログラムの売り、ETFに絡んだ証券会社の売りなど、売り材料を挙げるのに事欠かない。
いずれも株価波乱の要因として間違いはないが、そもそも最大の下落要因は14年4~5月安値以降、1年有余に亘って上昇基調を続けてきたことにある。したがって、材料に偏重した相場の本質を欠いた議論ばかりが先行しているフシがある。
6月24日ザラバ高値2万0952円以降の調整は下げるべくして下げたといえよう。もちろん、諸々の警戒材料は無視できないが、それらは相場が下降局面に入ったなかで顕在化し、下げの振幅の程度を決めるのである。
要は天井は大小にかかわらず、その時点では警戒材料は明確に顕在化していないのである。もし、顕在化していれば、もっと早く相場は天井を打っているはずである。
かくて8月18日から警戒材料が明確に顕在化して株価は一気呵成に下げてきた。そして、8月26日にはザラバで1万7714円の安値を付けた。これはちょうど、13年5月から6月にかけて急落したときの下落幅に対応するものだ。これをもって顕在化した材料を織り込み、ほぼ底入れしたとみてよいだろう。
●出直りのきっかけは?
その後、急反発したが、誰もこのまま上値を追うとみるわけにはいかず、上下動の繰り返し、つまり安値もみ合いに移行したかにみえる。よほど新たな警戒材料が浮上しない限り、安値を大きく下回るとは考えにくい。
とはいえ、9月は米FOMCを控え、景気動向や金融政策にことのほか、神経質にならざるを得ないのも事実。
では、こうした値幅整理から日柄整理へと移ったいま、いつ頃から出直り、またその折のきっかけ材料はなにか。
13年時と同じく9月いっぱい、そして欧州の金融緩和観測が強まることで、日銀の追加金融緩和策への期待も強まるはずで、それが出直りのきっかけとなるか。
この間の物色対象は材料豊富な建設、医薬品などであろう。また、銘柄に迷ったら指数連動型ETFの突っ込み買いで臨みたい。
2015年9月4日 記
株探ニュース