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【経済】(中国)原発立ち上げに注力、海南昌江で燃料棒設置が完了


過去に前例のないハイペースで、中国が原子力発電所の立ち上げつつある。2015年の着工6~8機、新規稼働8機を目指す。国策企業の中国核工業集団公司(中核集団、CNNC)は8月31日、中国華能集団公司と共同出資でプロジェクトを進めている海南昌江原発について、1号機の燃料棒121本の設置が44時間かけて完了したと発表。年内の商業運転を控えて、近く臨界状態に移行させると予告した。10年4月に着工されている。

海南省で初の原発となる昌江原発は、昌江黎族自治県の海尾鎮塘興村に位置。全体構想では、大型原子炉(CNP-600)4機を建設する計画だ。200億人民元(約3757億円)以上を投じる第1期では、1号機を2015年に稼動させ、2号機を16年に商業運転する構えという。

4機が稼働した場合、1年間で100億キロワット時を超える電力が生み出される予定。海南省全体の電力の3割を担うこととなる。毎年7000時間の運転で標準石炭260万トンの消費を省く。二酸化炭素780万トンを削減する効果が表れる見通しだ。

沿海部、内陸部を問わず、中国では多数の原発整備プロジェクトが検討されている。広東省、福建省、四川省、貴州省、河北省など。他国を圧倒する原発大国となることは確実だ。

原子力発電で中国最大手の中国広核電力(CGNパワー:1816/HK)は8月16日、傘下の紅沿河原子力発電所(遼寧省)3号機が商業運転を開始した。これで稼働中の原子炉は26基に増加。稼働中・建設中の原子炉は計51基と、米国、フランスに次ぐ世界3位に付けている。

習近平国家主席は今年1月、原子力産業を「国の戦略産業」と指摘したうえで、その発展を支援し、競争力を高める必要があると指示している。中国核能行業協会などのデータによると、14年末時点で商業運転中の原発総容量は2030万6000kW(中国発電容量全体の1.49%)。14年の発電量は前年比18.89%増の1305億8000万kWh(中国発電量全体の2.39%)に達した。

国家エネルギー局によると、2020年までの5年間で原発の発電容量5800万kWへの引き上げを目指す。建設中の発電容量は3000万kWを目標に掲げた。

【亜州IR】

《FA》

 提供:フィスコ

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