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【経済】実体経済に対する中国政府の次の一手が最大の注目点


中国の人民元切り下げに端を発した世界同時株安は、当の中国の上海株式指数が今年の上げ幅をほぼ全て吐き出して切り返した他、世界的にもパニック的な売りが止まり、いったん落ち着きを見せた。原油も大きくリバウンドした。
 上海株式指数が下げ止まったのは、中国人民銀行(中央銀行)による追加の金利引き下げと預金準備率の引き下げを同時に行い、さらに年金による株式買い上げについて規制緩和を打ち出すなど、相次いでなりふり構わない施策を打ったことによる。
 日経平均株価は上海株式市場の動向に神経質になり、これまでになく影響を受けるようになった。
 しかし、目先の中国の株価の動きは稚拙かつ乱暴な中国当局の施策に振り回され、実体経済を映すものではなくなっている。
 今回の一連の混乱を経て、小手先の株価対策や規制緩和では中国経済の減速感を糊塗できないのは誰の目にも明らかになった。
 習近平政権は汚職の徹底追放や構造改革を掲げてやや緊縮とも言える政策を取ってきたが、実体経済の減速を受けて、そうも言っていられなくなった。またもや大規模な財政出動や、旧来の構造をなす企業や地方政府を救済するための金融緩和を行わざるを得ない状況に追い込まれつつあるといえよう。
 中国はリーマン・ショック後に4兆元(約60兆円)もの景気対策と金融緩和で経済を立て直した。極端かつ迅速な対応だったが、これが世界経済の底割れを回避することにもつながった。
 今回はその後遺症に苦しんでいる面もあり全く同じような規模で景気対策を打つことはないだろうが、唐突に極端な政策を打ち出す中国からは目が離せない。
 現在、世界の金融政策のなかで最も注目を集めている米国の金利引き上げも、結局は中国情勢を見極める必要があることから、9月の利上げは難しくなってしまった。
《YU》

 提供:フィスコ

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