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【特集】<特集> 「IPOラッシュに突入! 嵐の中を船出する9社」


―波乱相場のなか注目度高まる!!―

●郵政登場を控えて前倒し?

 きょう26日から9月に向けたIPOラッシュが始まった。現時点では来月にかけ9社が登場する予定であり、ニューフェースの上場に市場の関心が高まる。例年、夏場はIPOが一服する時期だが、今年は郵政グループの超大型上場を控え、IPOスケジュールの前倒し観測も出ている。IPO銘柄の行方は、波乱相場に揺れる東京市場の今後をみるうえでも高い関心を集めそうだ。

 26日の土木管理総合試験所 <6171> を皮切りに、9月中旬に向けIPOラッシュを迎える。今後、8月は3社、9月は中旬に向け6社の登場が予定されている。

 8月はお盆前に既に3社が新規上場しており、今月と来月で合計13社がIPOを果たす。昨年は8月の上場はゼロ、9月は8社だった。例年夏はIPOの端境期だが、今年は「11月の郵政グループの超大型上場を控え、前倒しでIPO銘柄が出ているのでは」(市場関係者)との見方もある。

 これから登場する9銘柄の内訳は、東証2部銘柄が2社、東証マザーズが7社。ネット関連銘柄が多いが、アパレル系や食品系なども含め幅広い業種の銘柄が登場する。

 ただ、足もとの波乱相場はハイリスク銘柄であるIPO企業には逆風となる可能性がある。実際、きょう上場の土木管理総合試験所の初値は公開価格を割り込んでおり、今後の展開にも強弱感が対立している。

●ネット系に根強い人気

 こうしたなか、市場関係者の関心が高いのが、28日に東証マザーズに新規上場するメタップス (6172) だ。アプリ開発者の広告戦略を支援する開発者向けプラットフォーム「metaps」などを展開。同社の「metaps SDK」が導入されているアプリのダウンロード数は、15年3月末時点では世界で約20億規模に達し、世界に8拠点を構えている。

 「IT業界で高い知名度を誇る企業」(アナリスト)だが、資金調達金額は100億円近く、上場時の時価総額も約400億円と大きい。15年8月期は赤字予想となっている。同社に対して、市場では「将来性は高く、初値も堅調な結果が期待できる」という見方と「規模が大きく上値は重いだろう」という声で、強弱感が対立している。

 一方、資金調達額の大きくないネット系企業には強気な意見も多い。ネットワークシステムの性能監視ソフトウエアの企画・開発などを手掛けるアイビーシー (3920) や、ネット上で写真などデジタル素材の提供を行うピクスタ (3416) には強気評価が聞かれる。

 ブランジスタ (6176) はネクシィーズ <4346> の子会社で、電子雑誌出版を手掛ける。7月上場の富士山マガジンサービス (3138) の初値が人気化した連想を指摘する見方もある。

 ラクト・ジャパン (3139) はチーズや乳原料の輸入卸売を手掛けており、TPP交渉が前進した場合、追い風となるとみられている。

 STUDIOS (3415) は日本国内ブランド商品の販売を行うセレクトショップなどを展開。また、アクアライン (6173) は水回り緊急修理の「水道屋本舗」などを手掛けている。

 15年の年間ベースのIPO企業数は100社を超えると予想され、これまで60社強の上場が発表されたが、上場審査の厳格化もあり、「100社達成は微妙かも」(市場関係者)との見方もある。今後の登場が期待される有力IPO銘柄にはテーマパークの「ユー・エス・ジェイ」のほか、自動運転車の「ZMP」、クモの糸繊維を量産化する「Spiber(スパイバー)」などがある。


◆「8~9月の新規上場予定企業」(日付は上場日)◆ 

■8月28日  ラクト・ジャパン (3139・東2)
【事業内容】乳原料・チーズなどの輸入の卸売り、チーズの製造販売。

■8月28日  メタップス (6172・東マ)
【事業内容】スマホ向けアプリによる広告コンサルティング、オンライン決済。

■8月31日  アクアライン (6173・東マ)
【事業内容】「水道屋本舗」の屋号による水回り緊急修理サービス。

■9月2日  ベステラ (1433・東マ)
【事業内容】プラント解体工事にかかるエンジニアリングやマネジメント。

■9月2日  STUDIOUS (3415・東マ)
【事業内容】国内ブランド商品のセレクトショップやオリジナルブランドの運営。

■9月8日  JESCOホールディングス (1434・東2)
【事業内容】国内EPC事業、アセアンEPC事業、総合メディア事業。

■9月14日  ピクスタ (3416・東マ)
【事業内容】ネット上で写真などの販売を行うマーケットプレイスの運営。

■9月15日  アイビーシー (3920・東マ)
【事業内容】ネットワークシステムの性能監視ソフトウエアの企画・開発など。

■9月17日  ブランジスタ (6176・東マ)
【事業内容】電子雑誌出版事業。

※東2は東証2部、東マは東証マザーズ。
(注)9月16日にマザーズに上場予定だったネットマーケティングは新規上場の取り止めを申し出たため、8月27日に新規上場の承認が取り消されました。本稿もこれに沿って修正を行っております。

情報提供:日刊株式経済新聞

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