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【経済】NYの視点:米早期利上げ観測が後退、アジア危機の再燃との警戒も


中国の通貨切り下げや製造業指数の悪化をきっかけに、世界の金融市場が混乱した。1998年のアジア危機、2008年の金融危機と同様の危機に陥る可能性への脅威も広がった。1994年の人民元の切り下げ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げをきっかけとした1998年のアジア危機と比べて、確かに状況が現状と類似するところはある。しかし、1998年、2008年とは状況が異なるとの意見もある。アジア危機を受けて、多くのアジアの新興諸国が為替政策をより柔軟化した。また、当時と比べ各国の外貨準備も十分で財政状況も大きく改善している。また、2008年以降、米国、日本、欧州、英国は、異例な緩和策を遂行している。

市場では連邦公開市場委員会(FOMC)による9月の利上げ観測が大幅に後退。金融先物市場では50%近くあった9月の利上げ確率は24%まで低下した。また、バークレイズ銀行のエコノミストは、連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ開始時期の予想を従来の9月見通しから来年3月に大幅に先送りした。ロックハート・アトランタ連銀総裁は「人民元、ドル、原油価格が米国経済の見通しを複雑化した」としながらも依然年内の利上げ開始を予想している。ただ、従来のように9月の利上げには言及しなかった。同総裁は今月初め、経済状況の改善を理由に9月に利上げを開始するとの見通しを示していた。同総裁は2015年度のFOMC投票権を有し、中立派として知られている。一方、タカ派として知られる前ダラス連銀総裁のフィッシャー氏はインタビューで一日の株式相場の動きでFOMCが政策を変更する可能性は少ないとした。

週後半に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催が予定されているカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムにおけるフィッシャー米FRB副議長の米国のインフレに関しての講演に焦点が集まる。副議長が低インフレの長期化を強調した場合、米国の早期利上げ観測がさらに後退し一段のドル売りにつながる。

《NO》

 提供:フィスコ

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