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【市況】新興市場見通し:世界的な株安の落ち着き処を探る必要、下値模索は継続の公算


先週の新興市場は、中国の景気減速懸念の高まりを発端とした世界的な株安の流れを受けて、個人投資家のリスク許容度も低下する中、軟調な推移を余儀なくされた。とりわけ、週末にかけては大きく値を下げ、マザーズ指数に関しては、7月9日の長い下ヒゲ水準、さらには3月11日の安値も割り込んで、年初来安値を一気に更新している。なお、週間の騰落率は、日経平均が-5.3%であったのに対して、マザーズ指数は-6.2%、日経ジャスダック平均は-3.0%だった。

個別では、ミクシィ<2121>が週間で14.8%安と急落し、マザーズ指数の下げを助長する形となった。決算発表通過による出尽し感なども意識されたほか、海外投資家の処分売りにも押される格好に。ガンホー<3765>が6.8%安、タカラバイオ<4974>が6.9%安など、ゲーム関連やバイオ関連の中心銘柄も総じて大きく値を下げた。一方、FFRI<3692>が19.4%高と急伸、前週に33.0%の大幅安となった反動で、リバウンド狙いの資金が集中した。ほか、主力処では、前週末に決算を発表したサイバダイン<7779>は0.8%高と小動きに。上昇が目立ったのはイナリサーチ<2176>、心筋梗塞の新たな治療法の共同研究において、一定の成果が確認できたことが買い材料に。相次いで好材料が伝わったザイン<6769>、提案内容がNEDOに採択されたDMP<3652>なども急伸。リチウムイオン電池向け次世代正極材を共同開発の田中化研<4080>は週末にストップ高。ラクオリア<4579>、オンコリスバイ<4588>などバイオ関連の一角も買われる。一方、公募増資の実施が嫌気されてノジマ<7419>が急落。カイオム<4583>はナノ医療イノベーションセンターでの研究所設立中止で売られる。DLE<3686>は前6月期の下振れ決算が嫌気される。

今週の新興市場だが、先週末も欧米株式市場は大幅安となっており、週初は引き続き処分売りが先行することになる。新興市場は個人投資家のウェイトが相対的に高いとはいえ、海外投資家の新興株売り圧力の強まりが足元では鮮明化してきており、リバウンドに転じるには、世界的株安の落ち着きが必要となってこよう。とりわけ、マザーズ市場は、指数が年初来安値を更新したことで、戻り売りの圧力も強まる状況となりそうだ。外部環境によほどの好転がない限りは、下値模索継続の可能性が高い。

個別では、外部環境に左右されにくい銘柄への関心がより高まる公算だが、内需株でもインバウンド関連などには出尽くし感が強まる状況となっている点は注意。先週と同様に、個別で材料の出た銘柄に短期資金が集中するといった展開が継続しよう。ほか、先週のFFRIの急反発、厚労省へのサイバー攻撃などから、ラック<3857>などネットセキュリティ関連にリバウンドが波及するか注目。また、ZMPフォーラム開催で、ザインのほかにも、ZMP関連や自動運転関連への物色の幅が広がるかにも期待。省エネ予算倍増報道などから、再生可能エネ関連などにも関心。週内には、ラクーン<3031>、大和コン<3816>などの決算も予定されている。

IPO関連では、26日に土木管理総合<6171>、28日にラクト・ジャパン<3139>、メタップス<6172>が新規上場予定。注目度の高いメタップスではあるが、地合いが悪化する中では、公開規模の大きさには需給懸念が一段と強まる可能性があろう。

《FA》

 提供:フィスコ

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