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【市況】国内株式市場見通し:世界景気不安もセリングクライマックス意識、押し目拾いの好機


■世界的な景気減速への懸念、ヘッジファンドの売り仕掛け

先週の日経平均は大幅に下落。週末には節目の2万円をあっさり割り込むと、その後も上海市場下げが嫌気される流れから、約1ヶ月半ぶりに19500円を下回っている。

チャイナ・ショックが世界的な景気減速への懸念に拡大している。この景気減速懸念によるリスク回避ムードのなか、米国市場ではNYダウが17000ドルの節目を割り込んだほか、S&P500指数は2000ptを割り込み年初来安値を更新すると、昨年10月末以来の水準まで調整している。

原油や銅など国際商品市況の下落基調が続いており、原油価格については2009年2月以来の40ドル割れが意識されている。さらに、原油の供給過剰が続く中、世界金融危機当時の安値(2008年12月安値、32.40ドル)まで下落する可能性があると指摘する向きもある。最近の下落要因の一つに、商品投資顧問(CTA)型のヘッジファンドによる需給要因が影響しているとの見方もある。株式先物市場の不安定な値動きのほか、商品先物など下落トレンドが出ているところに積極的に売りを仕掛けているとの見方である。

■200日移動平均線は18978円

なお、21日の米国市場ではNYダウが500ドル超の下げとなり、シカゴ日経225先物清算値は大阪比460円安の18970円と19000円を割り込んできている。200日移動平均線は18978円処に位置しており、週初はこれを試しに行く波乱の展開から始まることになろう。

急ピッチの下げに対する売られ過ぎ感はあるが、リスク回避ムードのなか、目先的にはCTAなど短期筋の需給に振らされやすい。積極的な買い方不在の中ではイレギュラー的な価格がつきやすく、まずは、明確なボトム形成を探ることになる。引き続き中国の動向を睨みながらの展開になるほか、米国の9月利上げ観測等を睨みながら相場変動を見極めたいところである。

■9月の米利上げ観測は

さすがに世界的な景気減速懸念から米国の9月利上げ観測は後退しているとみる向きが増えたであろう。ただし、米国市場の調整などはこれを織り込む流れでのポジション圧縮との見方もされる。27日には4-6月期の米GDP改定値の発表が予定されており、市場の関心が向かいやすい。また、米カンザスシティで連銀主催のシンポジウム(ジャクソンホール)が開催される。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は欠席の予定であるが、これが9月利上げへの観測を強める一因でもあった。フィッシャーFRB副議長は参加するため、利上げについての発言が意識されそうだ。

その他、経済指標では25日に8月分の月例経済報告が公表される。海外では25日に8月の独ifo企業景況感指数、7月の米新築住宅販売件数など。26日には7月の米耐久財受注、27日には中国の大手銀行の決算発表が予定されている。

■経済対策への期待は高まる

週末の下落では東証1部の値下がり数は1800を超え、全体の98%を占めていた。これはアベノミクス以降では、初めてのことである。この状況の中、市場関係者の間では経済対策への思惑が必然的に高まる可能性はありそうだ。公共投資などのインフラでは人材不足により着工が遅れるためインパクトは限られる。直接消費に刺激を与えてくるような政策、日銀の追加の金融緩和家の期待等が高まるなか、関連する銘柄への押し目拾いに向かわせることになる。一方で、需給面では9月第1月曜日の米レイバーデー(労働者の日)までは、夏季休暇等で海外投資家の積極的な動きは限られるとみられている。商いが膨らみづらく、先物主導で振らされやすい状況のなか、内需系を中心とした好業績株へ資金がむかいやすいか。

■利上げ確度高まるならセリングクライマックスに

なお、9月16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げの有無などが不透明要因としてくすぶることになる。とはいえ、9月利上げの確度が高まる局面においては、今回の下げがセリングクライマックスになることも意識しておきたい。さらに、日本については金融緩和政策の維持、東京五輪を控えてのインフラ需要や更なる拡大が期待されるインバウンド消費などを背景に、企業収益への見通しは明るい。日経平均は昨年10月以来の200日移動平均線を割り込む可能性が高そうだが、いったんは押し目を拾うところだろう。

《FA》

 提供:フィスコ

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