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【特集】サンコーテクノ Research Memo(3):中核であるファスニング事業の業績は過去最高を更新


■事業別動向

(1)ファスニング事業

ファスニング事業はサンコーテクノ<3435>の売上高及び営業利益のおよそ4分の3を占める中核事業だ。

2015年3月期は売上高が13,423百万円(前期比2.6%増)、営業利益1,170百万円(同4.3%増)となり、現行のセグメント分けになって以来の最高を更新した。

業績好調の背景は、大都市圏での再開発需要や既存建物のメンテナンス需要の回復である。あと施工アンカーなどのファスニング材に加えて工事現場で使用する電動油圧工具の販売も好調だった。利益面では工場でのコストダウンが貢献して利益率を押し上げた。マイナス要因としては、建設資材不足や人手不足により工事の着工遅れが目立っており、同社もその影響を受けた。売上高が会社計画に対して約400百万円の未達となった理由はそこにある。

ファスニング事業の主力製品であるあと施工アンカーは、言うまでもなく、建築需要に左右される。コンクリート面において使用されるため、特に鉄筋コンクリート造のビルやマンションの建築動向に左右される。大まかな傾向を見るため、同社の売上高と日本の建築着工の動向を重ねると、両社の動きに非常に高い相関性を見て取ることができる。

2014年度については、建築着工床面積が前期比11.9%減となったのに対し、同社の全社売上高は17,835百万円と前期比3.6%増収となった。ファスニング事業売上高も前期比2.6%増となり、建築着工床面積の動きとは大きくかい離した形となった。これについては様々な解釈が可能であるが、最も単純で実態に近いと考えられる理由は、既存建物のリニューアルからの需要分が差となって現われたということである。統計は新築だけを集計しているが、同社製あと施工アンカーへの需要は新築とリニューアルとの区別はない。注意を要するのは売上計上のタイミングだ。リニューアル工事の場合は、工事開始とあと施工アンカー需要発生のタイミングが近いのに対して、新築工事においては、あと施工アンカーへの需要は工期の後半に集中するということだ。これも2014年度のかい離の1つの理由と考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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