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【市況】国内株式市場見通し:日米の金融政策に対する思惑が高まりやすい相場展開に


■中国人民元気利下げに世界が混乱

先週の日経平均は中国の金融調整を受けて波乱の展開となった。前週からのリバウンド基調が継続していた日経平均は、11日には20946.93円まで上げ幅を拡大させており、6月24日につけた年初来高値20952.71円にあと6円程度に迫る局面もみられた。しかし、中国人民銀行が、人民元の対ドルの基準値(中間値)を大幅な元安・ドル高水準に決めたことをきっかけに急速に値を消す格好に。これが欧米市場への混乱にもつながったほか、中国人民銀行が連日で人民元の切り下げを行うなか、12日の日経平均は一時20300円割れ寸前まで下押す局面もみられた。14日には、人民元の基準値を切り上げる調整を行ったほか、中国人民銀行の幹部による「元切り下げは一時的な措置で、将来は元高トレンドに戻る」と発言したことなどもあり、次第に落ち着きを取り戻す中、下げ渋りをみせていた。

■4-6月GDPの結果で追加の金融緩和期待への思惑

今週は日米の金融政策に対する思惑が高まりやすく、これに関連した物色に向かわせやすいだろう。週明け17日に2015年4-6月期の国内総生産(GDP)速報値が発表される。予想は前期比年率1.8%減と3四半期ぶりのマイナス成長になると見込まれている。予想通りのマイナス、若しくは予想を下回ってくるようだと、足元の中国経済への不透明などもあって、日銀による追加の緩和期待が高まりやすいだろう。

一方、米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。米紙WSJの調査では圧倒的多数が、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始を9月と予想している。議事録の内容等を受けて、一段と9月利上げへの見方が強まるかが注目されるところ。そのほか、8月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の米住宅着工件数、7月の米消費者物価指数、7月の米中古住宅販売件数などの発表もあるため、相場の変動要因になりそうだ。

■決算通過でケセクターやテーマ等で動きやすい

また、決算シーズンも通過したことから、個別の流れは物色というより、セクターやテーマ等で動きやすいだろう。追加緩和期待が高まるようだと、足元で物色の流れが強まってきている不動産のほか、銀行やノンバンクなど緩和メリットセクターへ関心が向かいやすい。世界の市場を揺るがせた人民元の急落は、ひとまず収束に向かいそうであり、中国が落ち着きをみせてくるようだと、鉄鋼や鉱業、石油石炭、機械といった素材・資源関連への見直しも意識されるところ。さらに、7月の訪日外国人客数が発表も予定されている。先週決算を発表したインバンド関連の中核銘柄であるラオックス<8202>は、15年12月期の営業利益予想を45.5億円から90.0億円に大幅に上方修正している。同社社長は会見で、中国からの訪日客が想定より多かったほか、6月下旬からの中国株下落の影響は、まったく受けてないと述べている。また、今回の人民元の切り下げについても、影響は小さく、訪日客はまだ増えるとの強気な見方を示している。7月の訪日外国人客数が足元の中国株急落の影響を感じさせない結果となれば、インバウンド関連への物色が再燃しやすいだろう。

■JPX日経400指数に連動する投信の設定が相次ぐ

その他、インデックスに絡んだところでは、JPX日経400指数に連動する投信の設定が相次ぐ。先日、JPX日経インデックス400構成銘柄の定期入替えが行われ、ミクシィ<2121>など概ね予想に沿った40銘柄超の入替えが行われた。8月末にはこれら銘柄の指数組み入れに伴う需給要因も意識される。投信設定に伴う需給思惑から、先回り的に新規組入れ銘柄と、除外銘柄によるリバランスが意識されやすいだろう。

《FA》

 提供:フィスコ

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