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【特集】<特集> 【 コーポレートガバナンス・コード適用開始 】


―みずほFGの動きが他行を触発も―

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大和証券 投資戦略部
塩村 賢史(シニアストラテジスト)


●みずほFG、大東建託などが「報告書」を初日開示

 6月1日、コーポレートガバナンス・コードが適用開始となり、みずほFG <8411> や大東建託 <1878> などが「コーポレートガバナンス報告書」を同日に開示した。コーポレートガバナンス・コードに基づき、各原則について会社側の対応を示す「コーポレートガバナンス報告書」の提出が求められるのは、基本的には定時株主総会後であることを考えれば、このタイミングでの開示はサプライズであり、企業側の自信の表れと言えよう。

 内容的にも注目を集めるためにこのタイミングで開示したのも頷ける内容となっている。海外投資家を中心に特に関心が高い株式の政策保有に関する方針について、みずほFGは「保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針とする。」と記している点は驚きである。

 みずほFGの動きが、他のメガバンクを触発することになれば、政策保有株式の売却(持ち合い解消)が思いのほか進むかも知れない。

 株式の政策保有に関しては、昨年5月に示された自民党のコーポレートガバナンス・コード案と比べれば、最終的に東証と金融庁がとりまとめたコーポレートガバナンス・コード原案は、政策保有にかなり寛容な内容となっており、政策保有株式の売却が加速するにはやや力不足とみていた。

 しかし、みずほFGの対応は期待を大きく超える内容である。「保有の意義が認められる場合を除き」としながらも「基本的には保有しない方針」としている。ややうがった見方をすれば、ほとんどの政策保有株を「保有の意義が認められる」と抗弁することも可能ではあるが、あえて注目を集めるタイミングで開示した企業がやることではないだろう。みずほFGは政策保有株を粛々と削減していくことになろう。

●政策保有株の売却は、売られる側にもポジティブ

 みずほFGが政策保有株を売却するとすれば、同社が大株主に名を連ねている企業にとって、株式需給の悪化を懸念する声もあろう。しかし、その悪影響は限定的であり、逆にプラスの側面の方がはるかに大きいと考えている。

 取引上の重要性が低下したとは言っても、基本的に相手方は親密な企業である。株式を売却するとしても、マーケットに極力インパクトを与えないかたちで執行するのが常識である。足元では、幸いマーケットのボリュームも膨らんでいる。また、売られる側の企業の財務体質が健全な場合は、自社株買いで対応するケースも多いと見られ、その場合、基本的には株価はポジティブな反応を示すことになろう。

 下記に掲げる企業はみずほFG(みずほ銀行)が大株主の企業であり、取引上の重要性も高い企業が含まれてる可能性が高い点は留意いただきたい。

◆みずほFGが大株主となっている主な企業◆

銘柄名           保有比率(%) 株主順位
オリコ <8585>        20.82      2
千葉興 <8337>        18.89      1
クレセゾン <8253>      13.35      1
オリンピック <8289>     6.52       2
ダイフク <6383>       5.48       2
JR東日本 <9020>      4.99       1
ニチバン <4218>       4.98       4
アマノ <6436>        4.98       4
リンコー <9355> [東証2]  4.98       4
市光工 <7244>        4.97       3
常磐開発 <1782> [JQ]   4.96       2
ニッチツ <7021> [東証2]  4.96       1
東天紅 <8181>        4.96       3
帝ホテル <9708> [東証2]  4.96       4
ピグメント <4119> [東証2] 4.95       2
テクノ菱和 <1965> [東証2] 4.94       4
日カン <5905> [東証2]   4.94       5
ダイジェト <6138>      4.94       2
オリジン <6513>       4.94       2
中山福 <7442>        4.94       3


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