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【市況】【北浜流一郎の新興市場展望】


「戦略的買い下がりが有効に」

●大台達成の影響で上昇途上の一服

 毎月の月初めは波乱があるか調整。これが東京市場の常識のようになっていたが、今月はかなり様相が違う。月初の4月1日こそ急落したものの、その後は堅調そのものの動き。日経平均株価は4月10日に2万円の大台を回復したほどだ。

 2万円という水準には意味がある。15年前、いわゆるITバブル相場が盛り上がっていた時の高値だからだ。

 当時はヤフー、ソフトバンク株などが驚異的な上昇ぶりで、ヤフー長者、ソフトバンク長者が続々と誕生していた。私の身近にもそんな人が多数いて、よく私的なパーティーに誘われたものだった。

 しかし、夢が膨らんだ日々は長くは続かず幻に終わった。そのため、日経平均の2万円台回復は素直に喜べない。こんな投資家が多いに違いない。2万円乗せを喜んでいると、またかつてのような市場崩壊が起きるのではないか。こんな懸念が生じて当然でもあるからだ。

 そんなこともあり、2万円奪還後の東京市場は軟調な展開に陥っている。ゴールデンウイークを控えていることもあるが、やはり2万円の大台に達したことの影響が大きいと見てよいだろう。

 2万円は私にいわせると単なる通過点に過ぎない。しかし、前述したように過去大きく崩れた直前の高値であったことから、投資家心理に与える影響は大きく、それがこのところの調整となってあらわれている。こう見てよい。

 しかし、当然のことながら調整と下落は違う。いまは上昇途中の一服。こう見てよい状況であり、特に先行きを案じる必要はないといえる。

●息を吹き返すマザーズ

 それに新年度に入り、新たな動きが生じ始めている。3月まで不振を極めたマザーズ銘柄に買いが入り始めたのだ。

 東証1部との連動性が高いジャスダック(日経JQ平均)やETFは堅調な値動きをキープし、高値圏にあり続けているのに加え、マザーズ市場、そしてJ-REIT市場も息を吹き返しつつある。

 マザーズ、J-REITともにまだ力強さはない。しかし、これら両市場は東証1部はもちろん、ジャスダックやETF市場からも完全に見放された格好で、低迷を続けていたのだ。

 それが蘇りつつあるのは、積極派の個人投資家が逆張りの底値拾いを実行しているためと見てよい。
 私が懇意にしているベテランの個人投資家も、3月まではじっと身を潜めたようにしていたが、今月に入り、「マザーズ銘柄をぼちぼち仕込んでみています」と言っていた。

 銘柄は正直、私から見ると「えっ、こんな銘柄」と言いたくなるほど危なっかしいそれだったが、株価はこのところ小刻みに上がっているので、知人の投資家さんの選択は正しかったことになる。

 他にも似たような投資をしている人がいて、彼ら、彼女らに共通するのは、長い投資経験から、「そろそろ買いを入れてもいい頃じゃないかな」――こんな感じで買いを入れていることになる。一種の勘。こういうことになるだろうが、決して悪い方法ではない。

 「ボチボチ買いを入れている」というのが味噌で、一挙に大量買いしているのではなく、試し買いを入れている。こういうやり方をしているからだ。

 新興市場銘柄の投資に限らないが、回復相場のいまは、一発決め撃ち的な買い方よりも、戦略的買い下がり。つまり、試しに少し買ってみて、下げたらまた買う――こんな手法が有効になる。

 さて、注目銘柄だが、まずは大塚家具 <8186> [JQ]がある。久美子社長の再生力に期待したいところだ。

 コイル自動巻線機首位の日特エンジ <6145> [JQ]、投資用不動産販売に強いムゲンE <3299> [東証M]、建設現場管理者派遣で先行している夢真HD <2362> [JQ]、CM制作や外国映画字幕制作で知られる東北新社 <2329> [JQ]などが魅力的だ。

2015年4月17日 記

(月刊「チャートブック新興+2部」No.236より転載 )

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