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【市況】【植木靖男の相場展望】


「ときに調整あっても中長期は買い」

●外資系の売り仕掛けの行方は

 3月下旬になって市況は波乱含みの展開となってきた。一部報道によれば、某外資系証券が先物取引で仕掛け的に大量の売りを出したという。順風満帆の市況だっただけに、その度胸は評価するが、これをどうみるか。

 日柄関係では、昨年10月安値から約5ヵ月が経過、一上昇波動としては十分天井圏に入っている。

 材料的には、これまで株高要因であったドル高・円安トレンドに異変が起きつつある。

 一方、株式需給面では、海外勢の買い越しは続いているものの、年金が主と思われる信託銀行が3月に入って3週連続して売り越し、しかも株価が上昇するにつれて売り越し幅が大きくなっている。また個人の現物売りも相変わらずである。

 これまでGPIFの運用見直しで買い一方であった年金が売り越しに転じたのだ。個人も少なくとも3月第3週までは引き続き現物売りが続いている。株価上昇でヤレヤレの売りが出されていると思われる。

 こうした状況を背景に、売り仕掛けしたとすれば、その炯眼には恐れ入る。

 だが、この売り仕掛けが成功するかどうかはわからない。なぜなら、多くの投資家は2万円という大々台達成への期待感が強く、もはやそれは一種の信仰にまで高められているからだ。

 とくに個人投資家はヤレヤレの売りを出しているが、利食いで売った玉は経験的にはほぼ間違いなく再び市場に戻ってくるからだ。

 一部報道では海外勢の先物売りに対し株価下落は格好の買い場とみて、買いを窺っているという。

●「押し目買いの時代」を迎える

 では、この4月はどう展開するのであろうか。そもそも、4月相場は2000年以降、15回のうち8勝7敗。強弱感が分かれるところだ。

 もっとも、国内要因だけで決められないのが今の相場。要は米国株の動向だ。時に米国株離れという声が強まるが、やはり米国株を抜きにして株価は語れない。

 現状は調整局面にあるが、今の水準、1万7500~1万7600ドル辺りで下値をつけるのであれば、つまり4月第1週で戻り相場に入るのであれば、一目均衡表の9日遅行線は株価実線に沿う格好で上昇し、短期で好転するはずである。

 わが国株価は、月末の1万9200円処で下値をつけ反転上昇を見せるか、再び急落して1万9000円台を割り込むかで先行き見通しは大きく変わってきそうだ。

 前者ならこの調整は短期で終わり、従来の上昇軌道に戻って4月中にも高値を形成すると見てよい。

 逆に1万9000円を割り込むようであれば、調整は長引き5月下旬頃に高値形成が予想される。

 ともあれ、07年7月高値を突破したことの意味として、10年に一度あるかないかの高値を突破するのは容易ではない。それを突破したことは、アベノミクスが予想通りの展開を見せていることの表れだろう。

 加えてもう一つの意味として、平成バブルから約20年、株価は下落し、「戻り売り時代」にあった。だが、07年7月高値を突破したことで09年3月安値が大底であったことを確認すると同時に、「押し目買い時代」に入ったことを表している。具体的には、上昇期間が長く、下降期間は短いパターンだ。

 今後、長期にわたって安心感のある株式投資の時代を迎えることになろう。

 ところで、今回の調整で物色対象に変化は出るのであろうか。

 全般市況が短期調整で済めば、これまでと大きく変わることはないように思われる。海外勢の買い越しが続くのであれば、やはりカギを握るのは市場との対話を重視するファナック <6954> の有様次第であろう。増配、自社株買いに期待したい。

 調整が少し長引くようであれば、当然のことながら物色の主役は変化することになろう。

 出遅れ株としての繊維、銀行、陸運、不動産、機械などだ。具体的には東レ <3402> 、三菱UFJ <8306> 、三井不 <8801> 、日精工 <6471> などに注目したい。

 このほか、今の局面を考慮すると指数連動型のETFが効率がよいように思われる。

2015年3月30日 出稿

「チャートブック月足集」No.378より転載

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