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【市況】国内株式市場見通し:ファナックの株主対話路線が企業の株主還元策を加速させる


■日経平均は一時19300円台、15年ぶり高値水準




先週の日経平均は上昇。週末には一時19300円台に乗せ、15年ぶりの高値水準をつけている。週初こそギリシャ債務問題や早期利上げに対する警戒感、原油先物相場の下落などが嫌気された米国株安を受けて利益確定の流れが強まった。しかし、先物主導で買い戻しとみられる動きが強まったほか、年金とみられる買いも観測されるなど、押し目買い意欲の強さが窺える展開に。




特に10日の米国市場では利上げに対する警戒感からNYダウが300ドルを超す下落となるなか、11日の日経平均は18600円を割り込む局面もあったが、その後反発に転じる底堅さをみせた。先物・オプション特別清算指数算出(SQ)を前日に控えた12日には19000円を回復。そして、SQ当日は寄り付き段階こそ幻のSQになるかにみられたが、ファナック<6954>が日経平均をけん引する格好から一段高をみせている。




■日経平均は2万円大台を意識





日経平均は先週の上昇で目先は2万円の大台が意識されることになろうが、再び過熱感などが警戒されてくる可能性はありそう。ただし、先週末の日経平均は連日で3ケタの上昇となるものの、東証1部の値上がり数は全体の6割にとどまっていた。日経平均が上げ幅を拡大するなかで下げに転じる銘柄も散見されており、ファナックを除くと、全体としてはいったん利益確定といったところであった。そのため、急ピッチの上昇に対する過熱感が警戒されるとは言え、実際には利益確定に向かっていることで、需給状況は良好であろう。



■FOMC波乱なら押し目買い好機




米国では連邦準備制度理事(FRB)が17、18日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)において、利上げのタイミングに関して「辛抱強くなれる」との文言が、声明文で削除される可能性が強まっている。当初予想されていた6月の利上げ開始が現実味を帯びてきたことで、利上げ開始時期への思惑から、グローバルマネーのリスク回避といった一波乱がありそうだ。金融政策の変更時にはいつの時も資金の巻き戻しの形で波乱が起きやすい。しかし、一時的な調整とみられることから、連鎖安となる局面では押し目買いの好機との見方で良さそう。



■株主還元策への取組みが活発化




一方、月末に向けては利食いをこなしつつ、期末配当狙いの流れが強まりやすい。今回のファナックが株主と対話路線に転換した市場へのインパクトは絶大だった。企業の株主還元策への取組みが一段と活発化することが期待されるため、連続増配を行っている企業などへの関心が集まりやすい。また、日経平均の3月期末で想定される配当落ち分は概算で約105円程度になるが、先週末の大阪225先物(6月限)と日経平均との乖離は50円程度である。通常であれば配当分を差し引くことで逆ザヤになろうが、先高感の表れといったところか。今後は決算発表、株主総会のシーズンとなる5-6月に向けて、株主還元策が一段と出てくる可能性がある。増配期待の流れなども物色意欲を高める要因になりそうだ。


■出遅れセクターへの見直し、訪日外国人客数の動向




また、高値警戒のなかでは相対的に出遅れている銘柄や割安に放置されている銘柄への水準訂正にも関心を向かわせやすい。なお、セクターでは昨年3月末からの上昇率で、精密機器78.0%、空運75.9%、電気機器75.9%の上昇に対して、石油石炭4.7%、鉱業10.2%、倉庫運輸17.8%、不動産21.2%、卸売28.4%、銀行29.9%などとなっている。原油先物相場の不透明感から資源セクターは手掛けづらいだろうが、不動産や金融セクターなどの見直しが意識されやすいところ。




その他、18日には2月の訪日外国人客数、19日には2月の全国百貨店売上高が発表される予定である。「春節」効果から大幅に伸びることは間違いなく、これが改めてインバンド物色に向かわせるか、若しくは材料出尽くしとなるかが注目されるところ。足下では小売株の一角に利食いがみられていることもあり、コンセンサスは出尽くしといったところ。再度物色が強まるようだと、相当、需給状況が良好ということにもつながる。

《TM》

 提供:フィスコ

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