市場ニュース

戻る

【特集】ネクステージ Research Memo(3):新車販売は縮小も自動車保有ニーズは減少せず


■国内自動車販売市場

○自動車販売関連の上場会社

自動車販売関連の上場企業は21社ある。内訳は、新車ディーラーが6社、買取専門が5社、中古車販売が3社、その他オートオークション、輸入車ディーラー、中古車輸出、レンタカー、カー情報サイト運営などである。これらの中で、ネクステージ<3186>の上場が2013年7月と最も新しい。同社以外で中古車販売を主要業務とするのは、ケーユーホールディングス<9856>(東証1部)(以下ケーユーHD)とハナテン<9870>(東証2部)の2社になる。東京都町田市に本社を構えるケーユーHDは、設立が1972年10月、上場が1989年12月と古い。大阪府大阪市を本社所在地とするハナテンは、1966年3月の設立で、1990年7月に上場を果たした。同社は、現社長の広田靖治(ひろたせいじ)氏が1998年12月に設立しており、平成生まれの若い会社だ。

図の中古車流通チャネルでは、同社は、中古車買取・下取と中古車販売を事業領域とし、独立系中古車販売業者になる。

○国内自動車販売市場動向

日本は、人口減少と少子高齢化により自動車販売市場が縮小傾向にある。国内新車販売台数(登録車+軽自動車)は、1990年に778万台でピークを打ち、2014年は556万台に減少した。中古登録車は、1997年の824万台が最高水準である。2014年1月-11月の累計登録台数は、631万台となった。過去のピークからの下落幅は、新車の3割弱に対し中古車が2割弱にとどまる。

年間の中古車登録台数は、1992年に新車販売台数を逆転した。ただし、中古車の数字は、業者間取引により所有者が移転するものもカウントされるため、実際の小売台数は約半分程度と推定される。

新車市場は、中古車に比べ販売の波が大きい。新車は、税制などの外部要因や人気モデルの登場などにより、需要が大きく変動する。下図に、四半期ごとの前年同期比増減率を示した。

2011年は、3月に起きた東日本大震災をきっかけに日本全国に自粛ムードが広がった。第2四半期(4-6月期)の新車(登録車+軽自動車)販売は、前年同期比33.1%の大きな落ち込みとなった。さらに、2011年4月-5月のガソリン価格が前年末から1リットル当たり20円も上昇したことが、新車の買い控えを強めた。

2012年春になるとエコカー減税がスタートしたことから、4-6月期の新車登録台数は低迷した前年同期と比較して62.6%増と大幅に回復した。また、2014年4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要により、2013年第4四半期と2014年第1四半期は前年同期比2割程度の伸び率を記録した。

2014年の個人消費は、総じて、駆け込み需要の反動により第2四半期(4-6月)に低迷するものの、それ以降は徐々に回復に転じると見込まれていた。ところが、実際の新車販売台数は、前年同期比の増減率が第2四半期の△1.9%から第3四半期に△3.6%へ、さらに第4四半期が△4.4%へと落ち込み幅が拡大した。

2012年11月に発動したアベノミクスは、劇的な円安をもたらした。為替レートは、2012年7月の1ドル当たり78円から120円へ急落した。円安と原油価格の上昇が、ガソリン価格を押し上げた。このため、株高及び不動産価格の上昇から恩恵を享受した層と、物価上昇に賃金の増加が追いつかず実質賃金が目減りした層とで消費動向の2極化が見られた。昨年の輸入車の販売台数は約29万台となり、5年連続して増加した。一方、国産自動車メーカーの一部は、2014年度の国内販売計画を下方修正した。2014年の新車登録は、普通車が前年比0.8%増、軽自動車が同7.6%増、輸入車が同3.4%増となった。

かつては、保有するクルマがステータスシンボルであった。『いつかはクラウン』に代表されるように、所得や社会的地位の向上に沿って車格を上げる買い替えが行われた。しかし、自動車の普及率が高まり、長年にわたる景気の停滞から、実用本位の消費者が増えた。ここ数年、子育て世代向けにミニバンやワンボックスカー、アウトドア志向のSUV、経済性を追う軽自動車、環境保全やランニングコストを重視するハイブリッドカーに人気が集中している。

軽自動車の躍進は目覚ましく、2014年の構成比は新車で40.9%、中古車で45.3%に高まった。特に、一家で複数台の自動車を所有するローカルエリアでの需要が高い。

軽自動車は、購入価格だけでなく、車検、保険、税金などの維持費が安いというメリットがある。そのうえ、燃費性能も向上している。2015年1月に5年ぶりのモデルチェンジが発表されたスズキの「アルト」は、燃費が1リットル当たり37.0kmとなり、ライバルのダイハツ「ミラ イース」(35.2km/L)を抜き、燃費性能トップのハイブリッドカー(HV)である「アクア」(トヨタ)と並んだ。最近の軽自動車は、室内空間が拡大し、インテリアの質感も向上している。高齢者がクルマを乗り換える際に、車格のダウンサイジング化を図るという現象を引き起こしている。

2014年の車名別新車販売ランキングでトップ10入りした普通車は、トヨタのハイブリッド専用車である「プリウス」と「アクア」、ホンダのガソリン車併売モデルの「フィット」の3車種にとどまった。「フィット」は、ハイブリッド比率が6割を超える。残りの7車種は、すべて軽自動車であった。表には、参考のために2010年のトップ10も掲載した。この4年間で人気車種が大きく変わったことがわかる。

2013年末の日本の自動車保有台数は7,662万台に上り、米国、中国に次ぐ世界3位の規模であった。そのうち乗用車は6,004万台を占め、全体と同様に過去最高の水準にある。新車販売が1990年度をピークに縮小したものの、人々の自動車を保有するニーズが減少したわけではない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《FA》

 提供:フィスコ

日経平均