市場ニュース

戻る
 

【経済】日経平均は約15年ぶりの高値だが新興市場が大きく出遅れているわけ


ここのところ日経平均株価上昇基調を強め、先週は約15年ぶりに「ITバブル」と呼ばれた時期の18300円台に乗せた。
 足元の投資主体別売買動向をみると、買っているのはGPIFをはじめとする年金基金(信託銀行経由)と事業法人(自己株買いとみられる)で、あとは前場に下がった時に買い出動するとみられる日銀のETF買いが大きい。また、運用資産が200兆円を超える「ゆうちょ銀行」も先週末株式運用を増やす意向を示しており、これに加わる模様だ。
 ただ、これらの公的・準公的資金による買いという需給のほかに、実体的にも東証1部に上場する企業の2015年3月期の最終利益合計額が過去最高を更新する見込みとなっている点は見逃せない。「過去最高」というのはITバブルどころか、かつてのバブル全盛期すら超える利益をあげているということである。これを評価して足の長い資金も入ってきていると見られる。円安・原油安によってさらに企業利益は伸びるとみる意見も増えてきた。「景気回復の実感がないまま株価だけ上がっている」などという意見もあるが、企業の実体はそのような感覚とは異なる。
 様々な要因があり単純比較はできないが、少し乱暴に言ってしまうと「東証1部の企業はバブル期を超える利益をあげているのに株価は半分以下(38900円/18300円)」ということができる。
 投資主体別でみると、外国人と日本の個人投資家は売り越し基調である。特に日本の個人投資家はここ3年間大きく売り越してきたが、足元も売り基調が強い。この点がバブル期とは大きく異る。空売り比率も約30%と高い水準となっている。今回の株高には乗れていないうえ、空売りで担がれているという向きも多いだろう。現在の株高に対して最も疑心暗鬼なのは日本の個人投資家ということができる。デフレから脱却するという政府の掛け声に反して、長年のデフレに慣れきった個人投資家は「長期的にみれば株は下がる」と確信しているかのようである。
 日経平均株価は約15年ぶりの水準を回復したが、新興市場特にマザーズ市場は甚だしく出遅れており、マザーズ指数は直近の12月の安値を割り込むなどしている。これは上記の公的・準公的資金が東証1部の大型株を中心に運用しているのに対して、新興市場が個人投資家中心となっているからに他ならない。
 日本の株式市場にはまだ過熱感などは全く感じられない。これは、外国人や日本の個人投資家が全く買っていないためだ。この2主体が本格的に買いに動かない以上、バブルなど程遠い状態といえる。
《YU》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均