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【市況】【北浜流一郎の新興市場展望】


「GPIFと成果を競う!」

●マザーズに特徴的な動き?

 何とも上下動の激しい展開だ。特に新興市場でそれが際立つ。たとえば東証マザーズ市場。11月は月初4日から6日にかけて急騰したものの、すぐに失速、17日まで大幅安となってしまい、そこから月末にかけて急反発。素晴らしい上昇ぶりとなったものの、12月に入るとまた売られて今度は17日まで下げ続けてしまった。

 この原稿を書いている時点では反発中ではあるものの、ともかく値動きが定まらない。それに興味深いのは、10月以降、この3ヵ月は月初めから下げ続け、半ば過ぎ16、17日に底を打って回復に転じている。

 理由は不明ながら、月の前半が下げてしまうことが多くなっている。実はこれは8月も、そして9月もやや類似の動きであり、東証マザーズに特徴的な動きといえる。

 では、ジャスダック市場はどうか。こちらはそんな動きにはなっていない。東証1部市場と似通った展開であり、この点では東証マザーズよりも安定感があると見てよい。

 同じ新興市場ながらこんなふうに大きな違いが生じているのは、上場銘柄数の違いにあることになろう。マザーズ銘柄が12月12日時点で196銘柄なのに対してジャスダック銘柄はスタンダード800、グロース45で計845銘柄だ。

 銘柄数が多ければよいというものではないものの、市場の厚みという点では有利であり、それが値動きの激しさを防いでくれていることになる。

●ベンチマークはJPX日経400

 REITやETFも東証1部との連動性が高くなっていて、これらは東京市場では地味な存在ながら、投資対象としては非常に魅力的な銘柄があるだけにスルーしないようにしたい。

 これらが投資対象としてなぜ魅力的なのか。日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が投資の対象としているからだ。これらは日本を代表する金融機関。それらがいまは本気で投資対象にしているのであり、これは無視しない方がよい。

 日銀にしろGPIFにしろ、国民から預かった資金を運用しているのだ。かつては成果など二の次で緊張感なく運用していたが、いまではそれは許されなくなっている。そのため、運用に真剣に取り組むようになっているので、われわれ個人投資家としては心強い同僚がいるぐらいの気持ちで成果を競う。こうしたい。

 まず大事なのは、どんなに間違っても彼らの運用に負けてはならない。負けたら個人投資家として恥ずかしい。投資するなら絶対彼らには勝たねばならないのだ。

 では、勝っているかどうかを知るにはどうすればよいか。昨年まではTOPIXの上昇率を見れば良かった。GPIFの投資効率はほぼTOPIXの上昇率と肩を並べるものになっているからだ。

 しかし、今年になって、特に最近ではTOPIXよりJPX日経400がより重視されるようになっているため、当然私たちも同指標の上昇率くらいの利益は最低でも上げなければならない。指標が年間10%上がっているのに、自分の資金は5%増では恥ずかしい。

 そこで最低でもGPIFに負けないようにするにはどうしたらよいのか。これは簡単だ。JPX日経400のETFに投資することだ。こうすればGPIFを打ち負かすことはできないとしても、ほぼ肩を並べることはできる。

 ということで、国を代表する金融機関並みの成果を上げるにはどうすべきかの説明が長くなってしまったが、ここでの注目銘柄を。

 まずは前述したJPX日経400のETF(iシェア4百 <1364> [東証E]など)になる。目先は急反発しているので押しを待ちたい。

 他では立体研削盤に強い太陽工機 <6164> [JQ]、ステーキハウス運営が好調なペッパー <3053> [東証M]、M&A仲介会社のM&Aキャピ <6080> 、船舶用配電制御システムに強い寺崎電気 <6637> [JQ]などが魅力的だ。

2014年12月19日 記

(月刊「チャートブック新興+2部」No.232より転載 )
(「株探」編集部)

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