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【市況】【杉村富生の短期相場観測】

●想定通りの円安・株高局面に!

 安倍政権によるアベノミクス(日本再生→失われた20年の克服を目指す)の推進、黒田日銀総裁の異次元の金融緩和(デフレ脱却、円安定着を狙う)の断行を好感、昨年に続き明るい年の瀬を迎えつつある。まさに、想定通りの円安・株高(資産インフレ)ではないか。

 年末の日経平均株価について、筆者は昨年末の終値(1万6291円)比10%高の1万7920円がらみの水準、と主張してきた。途中は厳しい状況だったが、ほぼ“目標値”をとらえている。

 振り返ると、平成バブル(86~89年)は85年9月のプラザ合意(ドル安・円高誘導)を受けての円高不況に対応した財政出動、超金融緩和が発端だった。キーワードは今回と同じ円高対策である。

 ちなみに、TOPIXの値動きを見ると、86年に49%、87年に10%(上昇率が低いのは10月にブラック・マンデーがあったため)、88年に37%、89年に22%上昇している。

●通過点にすぎない1万8261円!

 そして、89年12月29日には日経平均株価が3万8915円の史上最高値を示現した。今回は初年度の13年に51%上昇している。14年に10%上昇すると、平成バブルと同じ軌跡をたどっていることになる。

 この上昇率を単純に当てはめると、15年末の日経平均株価の“目標値”は2万4550円の水準に設定できる。これは無理な注文だろうか。いや、そうではないだろう。

 テクニカル的には2万2666円(96年6月26日の戻り高値)奪回を目指している。その前に、金融危機(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、南欧諸国のソブリンリスク)前の高値(07年7月9日の1万8261円)が控えているが、このクリアは通過点にすぎないと思う。

 すでに、NYダウは金融危機前の高値(07年10月9日の1万4164ドル)を26.5%上回っている。仮に日経平均株価が金融危機前の高値をNYダウ並みに26.5%上回ったとすると、2万3100円の“目標値”が算出される。

●マネタリーベースと株価は連動する!

 “数字遊び”のついでに、連動性の高いマネタリーベースと株価の関係について考察してみよう。昨年4月4日、日銀が異次元の金融緩和に踏み切ったとき、直前のマネタリーベースは135兆円だった。それが昨年末には193兆円に増え、日経平均株価は約4000円上がった。ちなみに今回(10月末)、追加の金融緩和を発表する直前のマネタリーベースは246兆円である。

 これが日銀の計画では、15年末には355兆円と約110兆円増える。マネタリーベースの50~60兆円増は日経平均株価を約4000円押し上げる。

 この経験則に従えば、追加金融緩和前日の10月29日の日経平均株価比7000~8000円上昇し、15年末には日経平均株価が2万2600~2万3600円になる。いずれの“試算”も2万3000~2万4000円のゾーンを示しているではないか。

●物色動向、テーマはどうか?

 一方、物色面はどうか。やはり強い銘柄を攻めるのがセオリーだろう。具体的にはマーベラス <7844> 、アイロムHD <2372> 、SBI <8473> 、富士重 <7270> 、マツダ <7261> などに注目できる。

 小物ではOak <3113> [東証2]、マミヤOP <7991> [東証2]、日本通信 <9424> [JQ]、高度紙 <3891>
[JQ]などに妙味があろう。

 テーマ的には円安・原油安メリットがメインである。さらに、バイオテクノロジー、観光立国構想(外国人観光客の急増)、ロボット、自動車の自動運転、IPOブーム、景気対策、地方創生、水素社会の実現などに材料が相次いでいる。

2014年12月3日 記
(「株探」編集部)

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