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【市況】新興市場見通し: IPOラッシュ開始、中小型株はしっかりした展開か


先週の新興市場は、利益確定売り優勢となる場面が多く、相対的に軟調に推移した。円安進行や欧米株高を受けて日経平均は連日で年初来高値を更新。投資家の関心が主力大型株に向かいやすかったほか、12月のIPOラッシュが目前に迫ったこともあり、中小型株では換金売りの出やすい地合いに。ただ、下押した局面では積極的な押し目買いが入るなど、中小型株への物色意欲の根強さも見られた。なお、週間の騰落率は、日経平均が+2.6%であったのに対して、マザーズ指数は-0.6%、日経ジャスダック平均は+0.2%だった。

個別では、フィンテック グローバル<8789>が連日で大商いとなり、オンコセラピー・サイエンス<4564>に代わり物色の中心となった。政策関連銘柄の一角として関心が集まっているようで、週間では76.1%高に。マザーズ市場ではMCJ<6670>にも物色が集まり、同95.2%高となった。ジャスダック市場では、主力の日本通信<9424>が同16.6%高、ガンホー<3765>が16.5%高と大幅上昇に。その他、マザーズ市場ではメッツ<4744>、ムゲンエステート<3299>、SBIライフリビング<8998>など、ジャスダックでは燦キャピタルマネージメント<2134>、トレイダーズHD<8704>、GFA<8783>、ニッポン高度紙工業<3891>などの上昇が目立った。一方、ケアネット<2150>は前週までの大幅上昇の反動により週間で50.2%安ときつい下げに。また、物色一巡感からオンコセラピー・サイエンスが同17.5%安、日本精密<7771>が同16.5%となった。アルファポリス<9467>やGMOリサーチ<3695>など直近IPO銘柄の一角も下げが目立った。なお、11月27日にマザーズ市場に新規上場したCRI・ミドルウェア<3698>は、上場3日目となる1日に公開価格の約5.6倍の13500円で初値を付けた。一時20320円まで上昇する場面があったが、その後利益確定売りに押され、5日終値は初値を下回る13000円となった。

今週の新興市場は、IPOラッシュ開始などの影響が見込まれるものの、総じてしっかりした展開が想定される。前週末に発表された米11月雇用統計が市場予想を大きく上回る内容だったことから、1ドル=121円台まで円安が進行しており、輸出関連を中心とした主力大型株主導の相場展開が継続するとみられる。後述のとおり、11日からは12月IPOがスタートすることもあり、既存の中小型株には資金が向かいにくいとの見方も。ただ、個人投資家の旺盛な物色意欲を背景に、下値も限定的となるだろう。

引き続きフィンテック グローバルのような成長戦略に絡んだ小型株が物色されやすいほか、週末にテックファーム<3625>など決算発表が多数控えていることから、事前に思惑が広がる可能性も。また、IPO銘柄に絡んだ物色波及も狙い目となるだろう。

今週の決算発表は、9日にアスカネット<2438>、11日に菊池製作所<3444>、スリー・ディー・マトリックス<7777>、12日にテックファームのほか、ファーマフーズ<2929>、モルフォ<3653>、エニグモ<3665>、ソフトウェア・サービス<3733>、フリービット<3843>、ジャストプランニング<4287>などが予定されている。なお、エナリス<6079>は延長後の第3四半期報告書提出期限が12日となる。また、11日にはビーロット<3452>、GMO TECH<6026>、弁護士ドットコム<6027>、スノーピーク<7816>が、12日にはクラウドワークス<3900>がマザーズ市場に新規上場予定。

《TN》

 提供:フィスコ

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