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【経済】後手に回った日銀


今年4月の消費税増税後も、黒田日銀総裁は物価目標の達成及び日本の景気見通しについて、驚くほど強気な姿勢を貫き、「現状維持」の金融政策を続け特に何もしなかった。その根拠は必ずしも明確には示されていなかったが、黒田総裁は自信満々といった態度であった。
 しかし、消費税増税後の日本経済の足取りは非常に重い。消費税増税後の駆け込み需要の反動から軌道回復するというのが政府・日銀の描いていたシナリオだが、実質所得は下がり続け、物価も1%の上昇率を割り込みそうな傾向にある。消費マインドは冷え込んできており、世論調査でも消費税再増税反対が70%前後、自民党議員のなかでも再増税に反対する声が増えてきた。
 来月発表される7-9月期のGDPが消費税増税の重要な判断材料となるが、各種の指標からみると「消費税再増税するのに問題ない」という数字が出てくるのは非常に厳しい情勢だ。
 安部首相が反対する世論とあまり強くない数値を押し切って消費税再増税実施の判断をすることは(地方選挙が控えていることともあいまって)相当難しいことになったと思われる。
 黒田総裁は、日銀総裁としては異例の消費税実施を促す「消費税を増税しなかったほうがリスクに対応することが難しい」という趣旨の発言を繰り返しているが、そのリスクのほうが高いと考えるならなぜ4月の消費税増税後になんらかの追加緩和策を実行しなかったのだろうか。黒田総裁は追加緩和の手段はいくらでもあると述べていたが、どのような手段を持っているとしても今から遡って7-9月の数値を変更することはできない。
《YU》

 提供:フィスコ

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