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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「浅い調整を狙うのが良策!」

●米利上げを意識し始めた市場

 日経平均株価の1万6000円台乗せ。昨年末の高値1万6320円まであとわずかのところまで迫った(19日の本稿執筆時点)。実に8ヵ月半ほどがかかってしまった。米国株式市場が新値更新、しかも史上最高値の更新を続ける中で、東京市場は長い長いトンネル暮らしが続いていたのだ。

 その最大要因は、円の高止まり。102円~103円台が続いてしまい、それに完全に手足を縛られた格好になっていた。しかし、ようやく円高止まりの重荷が取れた。そして、なんと円の水準は対ドルで108円台後半だ。

 まさにあっという間の下落だった。一旦下げに転じると、こんなにも簡単に下げてしまうのか。呆れるほどのスピードで下げ、率直なところこれからの揺り戻しが案じられるほどだ。

 実際、近くそれがあるだろうと、私は警戒している。市場が一方的な動きになった場合、大抵反発がある。ただ、たとえそれがあるにしても、短期間に終わり、また円は下落する。こう見てよい状況であり、この点では好ましい環境が続くと見てよいだろう。

 今回の円安を支えるベースは2つある。(1)地政学リスクの後退。特にウクライナと親ロシア派との停戦合意。これが極めて大きかったといえる。(2)米国市場がFRBの利上げ姿勢を意識しはじめた。イエレン議長は前々から10月には量的金融緩和を終了、その後は利上げを実施する。こう表明していた。しかし、市場はそれを無視はしないまでも、軽く受け止めていたところがあった。

 ところが、このほどサンフランシスコ連銀が調査リポートを発行、「市場は将来の利上げに対して対応していないのではないか」と警告ともいうべき指摘をし
たのだ。

 サンフランシスコ連銀は、イエレン議長のお膝元だ。しかも、イエレン議長は同連銀の総裁でもあった人である。この事実から、連銀リポートの指摘は、イエレン議長の意向を汲み取ってのものと考えるのが自然だ。そこで市場は、ここに来て将来の利上げを強く意識、長期債利回りが上昇するとともにドルが買われはじめた。

●急騰株の追いかけ買いは避ける

 では、いつ米国の金利は上がるのか。それは分からない。イエレン議長は、引き上げ時期は、時間軸ではなく、経済指標を見て決めると言っている。

 それでも大体の時期を予測しておくなら、早くて来年4月、遅くても7月くらいまでには実施するだろう。そして、最初の引き上げは、0.125%から0.25%となりそうだ。そして、15年が終わる頃には1~1.5%くらいまで上がっていることが考えられる。

 これはあくまでも私の予測だが、確かなのは米国の金利が引き上げられること。それが私たちの生活に直接影響することはないが、投資ではストレートに響いてくる。ドルが買われるからだ。それはいわゆる輸出関連株の買い要因となるため、今後も大いに期待が持てる。こう言ってよい状況だ。

 ただ、一直線の上昇はもちろんない。また地政学リスクが問題になることもあるだろうし、国内では消費税の追加引き上げ決定も想定されるためだ。

 しかし、投資で大事なのは、方向性。それが明らかに上向きはじめたので、そのつもりで対応したいところだ。

 経済の専門家やアナリストたちの中には、「東京市場は為替離れになっている」、こんなことを言っている人もいるが、信じられないことだ。その証拠に、現在、東京市場が上がっているのは、為替が対ドルで円安になっているからであり、為替との関係は引き続き密接なのだ。この点、まことしやかな説明に騙されないようにしたいものだ。

 しかし、それにしても、急激な円安だ。この原稿を書いている時点では、109円台前半だ。歓迎すべき円の下落と日経平均の上昇ではあるのだが、ここはやはり急騰銘柄の追いかけ買いは控えたいところだ。浅い調整を狙う。これが良策になる。

 そこで、注目はまずはビックカメラ <3048> だ。都心に旗艦店が集中していることで消費税引き上げの影響が軽微だったうえに、コジマ <7513> を傘下に収めたことで経営体力が増している。株価は節目の1000円前後のため、目先浅い調整があるだろうが、そこでの投資が有効と見る。

 実際は海外での展開も強いものの、内需依存度が高いと見られて売られたエムスリー <2413> も現在水準なら安全度は高いといえる。

 収益好調ながら株価の低迷が続いていた牧野フ <6135> も今後は正当評価となりそうだ。週末少し上がったため、小反落後に手がけたい。

 そして最後に、毎度お馴染みの日本空港ビル <9706> を。動きが止まっているため、狙いどころだ。

2014年9月19日 記

「チャートブック日足集」No.1538より転載

(「株探」編集部)

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