【市況】【杉村富生の短期相場観測】
「肝要なのはトレンドを確認すること!」
●目先のことばかりにこだわっていると…
古来、遠きを計る者は富み、近きを計る者は貧す!という。
あまりに、目先のことばかりにこだわっていると、“巨利”を逃してしまう。重要、かつ肝要なのはトレンド(流れ)の確認である。前述の格言はそれ(続く流れに逆らうな…)を教えている。
確かに、足元の相場は外部環境、および外国人の投資行動に振り回されている。いつものパターンである。特に、アルゴリズム取引、ハイ・フリークウェンシー・トレーディング(HFT)が波乱の主因だろう。
ちょっと、古ネタだが、8月8日には日経平均株価が454円安の1万4778円と急落した。マーケットでは「オバマ大統領によるイラク過激派に対する空爆の容認をイヤ気」と解説していたが、これは違う。
“犯人”は一方通行的に、ひたすら売りを浴びせるアルゴリズム取引のなせるわざである。
●急落の主因はアルゴリズム取引?
そう、イラク空爆うんぬんは売りの口実(きっかけ)にすぎない。そもそも、アルゴリズム取引は基本的に、経済情勢、企業業績などファンダメンタルズを無視する。
彼らが重視するのはテクニカル(チャート)分析、板情報の変化予想である。買い物に、トコトン売りをぶつける。
このため、中途ハンパな水準の値ぼれでの買い指し値は命取りになる。ディーラー、ヘビー・ネットトレーダーの一部が全滅(板情報を過信?)が好例だろう。
繰り返しになるが、イラク、パレスチナ、リビア、ウクライナなど地政学上のリスクについては「何をいまさら」と考えている。
それに、ロシア、中国の「やりたい放題」に対抗、アメリカが抑止力を発揮する姿勢に転じたのであればイラク空爆はむしろ、好材料ではないか。
それを売り材料にし、急落したのは単なるテクニカル的な要因と思う。まあ、日本の株式市場は地政学上のリスクに弱いのは確かだが…。
●おいしいのはバブル3年、4年目!
ともあれ、こんな局面において、びくつくことはない。問題は先に述べたように、トレンドの確認である。これについては何ら不安はない。“国策”は円安・株高(最終的に資産インフレを狙う)である。
“国策”に逆らってはいけない。安倍政権はアベノミクスを推進、日本再生→失われた20年の克服を目指している。
黒田日銀総裁は異次元の金融緩和を断行、デフレ脱却→円安定着を目論んでいる。ともに、株式市場にやさしい円安・株高が政策目標の柱である。
さらに日本は財政再建が急務となっている。このための施策では定番のインフレ、増税(すでに相続税は課税強化の動きが鮮明に)が有効だろう。
要するに、資産を守り、育てる難しい時代であり、最大のチャンスを迎えている。
ちなみに、筆者は“アベクロバブル”相場が発生する、と主張している。いや、もう2年目の後半に突入している。最良シナリオでは2016年夏~秋にかけて、日経平均株価は2万9000円絡みになる。
●JX、三菱UFJを狙う!
歴史的にみると、バブルは初年、そして3~4年目がおいしい。今回は2013年、2015年、2016年である。だからこそ、ここは仕込みの好機と叫んでいる。チャンスを活かせ!と。
一方、物色面では底値ゾーンのJX <5020> 、三菱UFJ <8306> に妙味があろう。
JXはガソリンの小売り価格の上昇を受け、利ザヤが拡大している。1株利益は2015年3月期が71円、2016年3月期が81円と予想されている。
三菱UFJの1株利益は2015年3月期が70円、2016年3月期が78円の予想となっている。中勢4ケタ奪回が期待できる。
2014年8月13日 記
(「チャートブック日足集」No.1533より転載)
(「株探」編集部)