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【市況】【杉村富生の短期相場観測】


「中・長期的には1万8400円が目標に!」

●半値戻しの水準ではもみ合って当然!

 株価(チャート)は正直である!という。日経平均株価は6月9日に、1万5124円の戻り高値をつけたあと、1万5000円前後の水準でのもみ合いを続けている。

 しかし、これはやむを得ない。ここは昨年12月30日高値1万6291円~今年4月14日安値1万3910円、下落幅2381円に対する半値戻しのレベルである。

 古来、半値戻しは全値戻し!というが、テクニカル的には値固めが必要な局面だろう。

 もちろん、中・長期的にみると、昨年5月22日の高値1万5627円奪回、そして昨年12月30日の高値をクリアするのはさして困難な目標ではない。さらに、その次には金融危機(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、ユーロ不安)前の高値(2007年7月9日の1万8261円)が控えている。

●日本株は欧米株に比べ大きく出遅れ!

 ちなみに、金融危機前のNYダウの高値は1万4164ドル(2007年10月9日)である。

 すでに、NYダウは6月10日に1万6945ドルの史上最高値を示現するなど、金融危機前の高値を19.6%上回っている。仮に、日経平均株価が金融危機前の高値を19.6%上回ったとすると、2万1840円になってしまうが……。

 まあ、そんな“高望み”よりもとりあえず、足元を固めることが肝要だろう。

 とはいえ、日本株が大きく出遅れているのは確かである。日本株のPERは欧米市場のそれを下回っている。これは1980年以降、初めてのこと。

 これまた、仮定の話だが、日経平均株価のPERをS&P500指数並みの16倍に買ったとすると、1万8400円となる。ちょうど、金融危機前の高値水準ではないか。

●著しい収益力の改善、株主優遇姿勢!

 一方、投資価値としての企業の収益力は改善が著しい。2014年3月期では5割の企業が増配・復配の方針を示した。6.9兆円の配当金総額は過去最大である。2014年度の自社株買いを含めた総還元額は12兆円を超えるだろう。

 もちろん、全般相場がもみ合いを上放れるにはアベノミクスの第3の矢(成長戦略)の明確化とともに、円安基調の確認(昨年12月30日は1ドル=105円41銭)が不可欠と考える。

 これは数ヵ月以内に実現するだろう。すでに、法人税率の引き下げ方針、GPIFの運用体制の見直しなどが決まっている。カジノ解禁(IR法の成立)は秋にずれ込みそうだが、構造改革の基本(軸)の部分は着々と進展している。

●物色面では中・小型株にマトを!

 一方、物色面では引き続いて中・小型の強い銘柄にマトを絞る投資戦術が有効と判断する。

 具体的には個人投資家好みのADプラズマ <6668> [東証M]、アルチザ <6778> [東証M]、アプリックス <3727> [東証M]、日本マイクロ <6871> [JQ]など。

 メジャー系では三菱UFJ <8306> 、日本ペ <4612> 、ポーラHD <4927> 、シマノ <7309> 、アサンテ <6073> 、やまびこ <6250> 、ホシザキ <6465> 、マキタ <6586> 、ニフコ <7988> などに注目できる。

 外部環境についてはウクライナ、イラク情勢などが気掛かり材料だが、DAX指数(ドイツ)、NY市場などはほとんど影響を受けていない。やはり、日本市場は外国人主導、および為替との相関が強いマーケットであり、それに振り回されているのだろうか。

 しかし、このモヤモヤはいずれ解消する、と判断している。

2014年6月18日 記

(「チャートブック日足集」No.1525より転載)
(「株探」編集部)

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