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【経済】NYの視点:イラク緊迫、安全資産の米国債買い


投資家はイラクの状況を真剣にとらえている。地政学的リスクが再び上昇しつつあり、安全資産としての米国債券買いを加速させた。10年債利回りは再び2.6%を割り込んだ。世界銀行も2014年度の世界経済のリスクとして地政学的リスクを挙げている。

共和党のマケイン上院議員は「もっとも過激なテロリストグループがイラクを占領しつつある」と警告。2003年3月にアメリカがイラクへ侵攻したことに始まるイラク戦争で司令官として前線指揮を執り、バグダード陥落に大きく貢献したとされるペトレイアス氏に再び政策の指揮を任せる必要があると議会で訴えた。イラク北部で、国際テロ組織アルカイダ系の武装組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が11日までの2日間で2つの主要都市を制圧し、首都バグダッドに迫り内戦につながる可能性が警戒されている。

米軍指導者は長年にわたりイラク軍がまだテロリストとの戦いの準備ができていないと警告してきたという。軍備もまだ十分ではないと言われている。イラク軍は米国国防省にすでに36機のF16や数十機の米国軍事用攻撃型ヘリコプターを注文済みだが手に入るのは数か月先。さらに使用できるのはまたその先になる。このため、イラク政府は武装組織の進撃を食い止めるため、米軍による空爆を容認する可能性を示唆したという。イラク軍高官は「注文のフォローアップがずさん」とオバマ政権を非難した。

マケイン議員はまた、イラクの状況は米国がアフガニスタンから撤退すべきでないことを示していると指摘。オバマ米大統領はすでに本年末の米軍戦部隊のアフガニスタン撤退を決めている。オバマ政権はつい最近、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンに拘束されていた米兵1人の釈放と引き換えに、キューバのグアンタナモ米海軍基地内のテロ犯収容施設に収監されていたタリバン幹部5人をカタールに移送。幹部には旧タリバン政権時代の内相や国防次官らが含まれておりタリバンが再びアフガニスタンで勢力を盛り返す危険もささやかれている。

《KO》

 提供:フィスコ

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