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【市況】【杉村富生の短期相場観測】


「マーケットの特性を理解し行動せよ!」

●歴史に残る5ヵ月連続安?

 厳しい相場展開が続いている。日経平均株価は年初以来、4ヵ月連続の下洛である。こんなケースは東証開所(1949年5月16日)以来、2例しかない。すなわち、1990年、1992年の2回だけ。非常に珍しいことである。

 投資家の皆さんは貴重な経験をしていることになる。

 こんな経験はしなくてもいい? それはそうだろう。しかし、このままだと、歴史に残る5ヵ月連続安に立ち会うことになりそうである。まあ、「勘弁して欲しい」というのが多くの皆さんの気持ちだろうが……。

 外部環境では相変わらず、ロシアおよびウクライナ情勢、円高傾向(アメリカの金利低下を受けたドル安)、日銀の追加の金融緩和の遅れなどを気にしている。慎重な業績予想も不安材料だろう。

 さらに、NY市場の動向、外国人の動きなど懸念材料は山積みの状態である。もっとも、だから株価はさえないのだが……。まさに、材料はあとから貨物列車に乗ってやってくる!の図ではないか。

●内需関連セクターの一角が強いぞ!

 改めて述べるまでもないが、日本の株式市場はマーケットに厚みが乏しいため、HFT(ハイ・フリークウェンシー・トレーディング)、外国人(特に、先物)の動静に振り回されるきらいがある。

 しかし、これはいまさら嘆いてもしかたがない。マーケットの特性を理解することは投資の基本である。ちなみに、この局面では外部環境に影響を受けにくい銘柄にマトを絞る戦術が有効だろう。

 実際、森永乳 <2264> 、プリマ <2281> 、PGM <2466> 、日清食HD <2897> 、コーセー <4922> 、小林製薬 <4967> など内需関連セクターの一角は抜群に強い。チャート的には順張りパターンの銘柄である。

 もちろん、外需関連セクターにも堅調な銘柄がみられる。富士通 <6702> 、スミダコーポ <6817> 、ローム <6963> などがそうだが、ここ数年の体質改善効果が顕在化している銘柄との見方ができる。

●GPIFの運用体制の見直しが焦点!に

 一方、本格反騰に転じるにはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用体制の見直し、法人税率の引き下げなどの具体化が不可欠だろう。

 GPIFについてはすでに、株式アクティブ運用委託先の変更(国内系4社、海外系10社に)、運用委員会のメンバー入れ替えが行われている。

 次は日本株式組み入れシェア(現行12%プラス・マイナス6%)の引き上げだろう。これが“本丸”になる。恐らく、20~25%に引き上げられることになろう。GPIFの運用資産は129兆円に達する。世界最大である。

 これだけでも10兆円近い買い余力が発生する。このほか、約50兆円の運用資産を持つ国家公務員、地方公務員の共済組合(公的年金)、私学年金の運用見直しが伴行して実施される。

 この効果は大きい。さらに、法人税率については35.64%を25.64%に引き下げる方針が打ち出されている。

●辛抱する木にカネが成る!

 すなわち、世界平均(25.9%)並みの水準に引き下げようというもの。これはアベノミクスの第3の矢(成長戦略)の柱である。

 需給面ではGPIF、外部環境では法人税率が6~7月相場のポイントになろう。

 加えて、日銀の追加の金融緩和が断行された場合、日本の株式市場は円安基調が鮮明となり、相場つき一変となる可能性がある。

 それまではひたすら辛抱だろう。まあ、先人は辛抱する木にカネが成る!と教えている。

 辛抱がイヤな人? そんな人は前述の逆行高の銘柄のほか、カシオ <6952> 、AGCap <6993> [東証2]などを個別に攻める戦術が有効だろう。

2014年5月7日 記

(「チャートブック日足集」No.1519より転載)
(「株探」編集部)

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