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【経済】韓国ウォンの上昇基調に陰り、米国と中国がかもし出す金融不安におびえ


韓国の通貨ウォンの上昇基調に陰りが出始めている。

ウォンは対米ドルで2013年10-12月期(第4四半期)に2.4%、対円で9.7%、それぞれ増価したが、今年に入ってからは対米ドルで2.3%、対円で4.5%の下落に転じた。

米連邦準備理事会(FRB)が量的金融緩和の縮小(テーパリング)を継続するとの思惑に加え、韓国にとって最大の貿易相手国である中国の成長ペース鈍化が金融市場全体を不安定にしており、韓国ウォンはもはや“安全通貨”ではないとの見方が市場参加者に浸透しているようだ。

実際、現代自動車では2013年の新車販売台数がアナリスト予想に届かなかったが、これはウォン高が原因になったと分析されている。また、起亜自動車はウォンの急伸が第4四半期の営業利益に打撃を与えたと明確に述べており、通貨高による韓国経済への悪影響が目に見えて確認できる状況になってきた。

各国証券取引所のデータによると、韓国株式市場からの外国人資本の純流出額は年初から23億米ドルに達しており、インドと台湾、タイからの流出額合計とほぼ同水準に上っている。

なお、前週末に発表された1月の米雇用統計では失業率が2008年10月以来の低水準となった。非農業部門の雇用者数は市場予想を下回る増加ペースにとどまったものの、FRBが量的緩和の縮小ペースを緩める材料にはなっていない。

また、中国人民銀行(中央銀行)は8日、短期金利のボラティリティ(変動率)が持続し、借入コストが上昇するとの見通しを示唆。景況感の重しとなり、成長を押し下げるデフォルト(債務不履行)のリスクを裏付けた格好で、中国の成長と金融システム不安が新興国の金融市場をおびえさせる状況が続く可能性が示されている。

依然として良好な経済ファンダメンタルズ(基礎的要因)を誇る韓国だが、通貨高は曲がり角を迎えているのかもしれない。

《RS》

 提供:フィスコ

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