【市況】ESG最前線レポート ─「採択から10年、SDGsの現在とESG」
株式会社グッドバンカー リサーチチーム 倉橋 麻生第48回 「採択から10年、SDGsの現在とESG」
●SDGsの採択から10年――2025年版報告書を公表
毎年、国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が採択された9月25日を含む9月末の約1週間は、SDGs週間としてさまざまなイベントが開催されています。
2015年に国連でSDGsが採択されて10年――。今年6月、国連系の民間研究組織「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)が年次で発行している「持続可能な開発報告書(Sustainable Development Report)」の 2025年版が公表されました。
この報告書では、2030年をゴールとするSDGsの進捗状況をまとめ、世界と各国におけるSDGsの達成度合いを評価しています。それによると、SDGsの評価可能な139のターゲットのうち「順調に進んでいる」のは18%、「中程度の進歩」が17%、「まったく進歩していない」が17%、「後退している」が18%となっており、このままいけば17のゴールはいずれも達成されない見通しです。
特に、目標2「飢餓をゼロに」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」、目標16「平和と公正をすべての人に」については軌道から大きく外れている、と指摘しています。その背景には、自然災害のほか、ウクライナやガザなどでの戦争・紛争、貧困の拡大、国際協調の停滞などによる影響があると考えられます。
●日本のSDGs達成度
SDGsについては日本でも非常に知名度が高く、幼児に対するSDGs教育も行われているほど身近で、日常的に耳にする言葉になっています。しかし、同報告書によれば、日本のSDGs達成度は世界167カ国中19位であり、昨年よりも1つ順位を落としています。達成しているのは、目標1「貧困をなくそう」の1項目です。
日本について課題とされたのは、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14、目標15であり、女性議員の少なさや化石燃料の利用によるCO2排出、水産資源の乱獲などが指摘されています。また、動物性食品の摂取量の多さや化学肥料の多用が環境に負荷をかけており、農業の持続性に関して課題があるともされています。
●持続不可能な世界を食い止める
日本は目標1のほか、目標3「すべての人に健康と福祉を」がほぼ達成、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」と目標11「住み続けられるまちづくりを」が達成の見込みとなっています。
達成期限まであと5年。以前、このレポートでも述べたように、ESG投資はいわばSDGsの金融版ともいえるものです。ESG投資を行うことは、企業のSDGsへの取り組みを促進することへとつながります。
今月末のSDGs週間を機会に、世界が持続不可能な方向へと向かっている今、個人に可能なSDGs活動として、金融面から参画するESG投資について考えてみてはいかがでしょうか。
情報提供:株式会社グッドバンカー
(2025年9月18日 記/次回は10月25日配信予定)
株探ニュース

米株










