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レカム Research Memo(7):新中期成長戦略・情報通信機器販売会社から日本発の【グローバル専門商社】へを公表


■中長期の成長戦略

レカム<3323>は「レカムグループ経営ビジョン」として、以下の行動指針と2017年9月期から2019年9月期までの中期経営計画主要指標を公表している。それによると、「2019年度に中期経営計画主要指標を達成することにより、A&A111+を実現する」としている。2018年9月期で3年間の中期経営計画の2年間を終え、前期発表した中期経営計画以降の成長戦略についての概要を公表した。

1. 中期経営計画
(1) グループ経営ビジョン
A&A111+(Action & Achievement「行動、そして以下のNo.1とBest1を達成するというもの」)。株主にとって投資リターン「No.1」、顧客にとって「オンリー1」、業界で質量共に「No.1」、従業員にとって最も魅力的な「Best1」企業グループ

(2) 中期経営計画主要指標
2019年9月期での営業利益10億円(3年間で利益約8倍)の達成、オフィスインフラ商材導入率100%の達成、営業マン1人当たり売上で業界No.1の達成を目標としている。

2. 中期経営計画以降の成長戦略
同社は2019年9月期までの中期計画の達成を見据えて、中期経営計画以降の成長戦略の概要を発表している。これは長期的な成長戦略を投資家に訴求する目的があるものと考えられる。具体的な達成目標数値は次期中期経営計画を待たねばならないが、これによると、基本方針は「情報通信機器販売会社から日本発の【グローバル専門商社】へ」シフトしていくことを標榜している。創業以来続く中核事業の情報通信機器販売事業は、国内においては今後競争激化が予想される。今後、事業を急拡大していくためには既存事業の営業展開による内部成長に加えて、同社の強みであるM&Aを活用した事業展開や成長性の高い海外市場にも目を向け。海外の日系企業、さらには欧米企業やローカル企業へのITや環境関連ソリューション、新規事業展開を進めていく「グローバル専門商社」に発展するという構想である。成長のコアコンピタンスとして下記の4点の個別戦略を掲げており、M&Aを含めた積極的な成長戦略をとっていく模様である。

(1) 営業社員の早期育成・戦力化
同社の最大の強みとも言える営業力だが、商品販売力とコンサルティング力という2軸で各事業別の営業力を表現している。それによると、新卒社員を比較的売りやすい商材(LED照明や電力コスト削減ソリューションなど「新電力サービス」)で基本的な営業ノウハウを経験させた上で、営業社員が希望する事業へチャレンジさせ、商品販売力・コンサルティング力を伸ばすという戦略である。

(2) 海外進出の加速化
前期は、今後効果を発揮することが期待される高収益ビジネスの展開の例として、環境関連事業と海外法人事業におけるケースを挙げていたが、今回は「海外進出の加速化」という表現に変わった。環境関連事業については、前期にレカムIEパートナーを連結子会社化しLED照明販売網を獲得したことにより、OEM商品の仕入コストを大幅に低減することができ、環境関連事業を収益拡大させる体制が整ったとみている。今回は、海外進出において、現地調査・進出・立ち上げ・黒字化までをスピード化するノウハウで、世界10ヶ国での事業展開を早期に実現するという戦略を立てている。地域的には、やはりアジア中心となろう。

(3) 中国事業の成長加速化
中国大連子会社であるレカムビジネスソリューションズ(大連)株式有限公司は、LED照明販売やBPOサービス、デジタル複合機等の販売などを行っている。2018年10月17日付で、同子会社の中国での上場(中国新三板※)が決まり、今後はその信用力を活用した中国企業向けのBPO事業や環境関連商材の販売事業の立ち上げ、中国市場向けAI関連事業への進出、株式交換を活用した中国企業のM&Aなどを図り、中国事業の拡大をさらに加速させる予定である。

※中国国務院の認可を得て設立された全国規模の証券取引プラットフォームで、上海や深セン証券取引所と同様に中国証券管理監督委員会の監督下に置かれ、2012年に設立された全国中小企業株式譲渡システム有限会社により運営・管理される株式市場。


(4) M&Aの成功パターン化
同社が中期経営計画の目標達成、さらにはそれを上回る事業成長を進めるためには、今後ともM&Aの活用が大きなカギとなると思われる。同社のM&Aの基本ポリシーは、1)直接的なシナジーが見込めること、2)既存事業と同業であること、の2つの条件を満たすこととしている。また、直近の5年間のM&Aの実績は6件あり、このポリシーに沿った実行により、すべての子会社の黒字化を実現・成功させているとしている。単純に事業規模のみの追求でなく、「2020年以降も倍々ゲームの利益成長を目指す」としており、収益性の面でも十分効果を生めるような体制づくりを進めており、積極性と堅実性の両方を兼ねた戦略ということが言えるだろう。

また、前期において発行した新株予約権の未行使分の行使により約25億円を調達予定であり、調達した資金はM&Aや新規事業の推進に充当するとしている。発行済株式数の増大による希薄化以上に収益を拡大させ、株主価値の向上を実現するとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)

《RF》

 提供:フィスコ

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