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馬渕治好氏【消えない暴落相場の残像、ここからの株戦略を読む】(1) <相場観特集>


―高値から3000円急降下で値ごろ感も、依然軟調続く―

 日経平均株価は前週1週間で1300円あまりの下落、今月2日に付けた年初来高値からは実に3000円以上も水準を切り下げている。米中貿易戦争に端を発した世界景気減速懸念や企業業績への影響を嫌気するムードが蔓延(まんえん)している。来週11月6日には米国の中間選挙を控えており、この結果を見極めたいという思惑も漂う。暴落相場の残像消えぬなか、投資家は敢然と買い向かうべきか、ひとまず撤退して様子をみるか難しい選択を迫られている。卓越した見解に定評のある市場関係者3人に、ここからの見通しを聞いた。

●「全体リバウンド近いが中期戻り売り前提」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 日経平均は前週の急落の反動で高く始まったものの、その後マイナス圏に沈み上値の重さを露呈している。日銀がETF買いの購入金額を増やすとの思惑が一部で浮上するなど相場にポジティブな観測も出ているのだが、総じてリスクを取りに行く動きは限定的だ。

 米国株市場に目を向ければ、好決算を素直に買われる銘柄がある一方、何かしら悪い部分を恣意的にクローズアップされるような形で売りの洗礼を浴びる銘柄も少なくない。例えばアマゾン・ドット・コムは利益が伸びても売上高減少を売りの材料にされたり、キャタピラーも先行き収益見通しの慎重さを嫌気され下値模索を強いられる、といった今の投資家のセンチメント悪化が如実に映し出されている。

 日本株についても同様だが、決算についての懸念は全体相場の不調が言わせている部分もある。アナリストの利益見通しがひと頃と比べ切り下がっていることもあって、企業決算を拠りどころにするムードはだいぶ薄れた。しかし、それでも実態面からは売られ過ぎだ。PERでは2016年6月頃の「ブレグジット・ショック」の水準まで低下している。今は需給悪が最大の背景であり、それも峠を越す日が近いとみている。海外勢の売りは長期資金ではなく、短期スタンスで仕掛け的売りを繰り返すヘッジファンド筋が主流とみており、米国中間選挙に前後して買い戻しが入ることを考慮すれば、ここは押し目買いで報われるタイミングに来ていると思う。

 ただし、中長期的に見た場合は注意が必要で、来年6月くらいにかけて再び下値リスクは高まる可能性がある。いったん戻り相場に転じても売り直され、2万円大台攻防を視野にいれるような弱い地合いも想定される。したがって、業種を問わず底上げ的なリバウンド局面は早晩訪れるとみているが、基本は戻り売りを念頭に置いて、欲を張らず冷静な対処を心掛けるのが得策と考えている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「投資の鉄人」(共著、日本経済新聞出版社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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