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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆材料にならない半島情勢◆


〇韓国画餅の暴走、材料にならず〇
株式市場の戻り相場を左右する要因の一つは、11月6日に迫った米中間選挙。現時点では、上院は共和党が多数を維持するが、全員改選の下院は共和・民主拮抗状態と言われる。その結果を受けて、やや膠着状態にあるトランプ政策が再び大きく動き始めるかどうかも焦点。11月下旬のG20での米中首脳会談が取り沙汰されるのも、その一環であろう。戻り高値を取りに行くためには、ある程度の方向感がカギになる。

朝鮮半島情勢は最近、ほとんど市場で材料視されていない。文在寅政権の暴走とも言える南北統一、反日姿勢に日米がもう少し厳しい対応を行ってもおかしくないと思われるが、ポンペイオ米国務長官の「激怒」や日本政府の「抗議」が伝えられるだけだった。
17日付韓国・中央日報は「米財務省からの電話は死神の声も同然だった」と題する記事を配信。水面下で、米政府がどういう圧力を掛けているか、の一端を示した。内容はNYに支店を持つ韓国銀行7行と米財務省の交渉を伝えるもので、韓国メディアの報道を一つずつ確認したとされる。金剛山支店の開設、開城支店の再開、収益の一部を統一基金に寄付する金融商品などの項目。最後に「米国の対北制裁法は有効であることをお知らせする」と言って、電話を切ったと言う(行われたのは9月中旬)。米法違反では、14年に仏パリバ銀がイラン取引などで9990億ドルの罰金を科せられたことがある。銀行ではないが中国ZTEも厳しい処分となった。罰金に至らずとも、韓国銀行は事実上ドル取引が困難になる。

16日に南北高官級会談で、南北鉄道・道路連結の着工式を12月初めまでに行うことで合意した。もっと大騒ぎになってもおかしくない材料だが、工事は建機持ち込みから始まって、悉く対北制裁に引っ掛かる。式典はやっても、それだけの意味しかない(「合意」をしても、守らない、実行しないのはお国柄)。米国の厳しい対応は、むしろ、国際情勢・金融情勢を理解しない文在寅政権の歯止めになるとの見方も出ている様だ。

年内に韓国大法院(最高裁)は徴用工問題の判決を出すとされる。元々、大法院が差し戻した裁判で、日本企業に賠償責任を科すと見られている。日本企業の撤退も噂される。それも意識したか、文在寅大統領の年内訪日は見送りと伝えられる。一方、10月初め、朝鮮日報は「猛暑・干ばつで不作の北朝鮮、食料の流通を全面禁止」、「北朝鮮の鉄道・道路現代化事業費、最低でも4兆4000億円(韓国鉄道施設公団の内部資料から)」と伝えた。南北事業や北朝鮮支援に日本の協力は不可欠との見方が現実論。

2回目の米朝首脳会談への動きもあって、米中間選挙後に再び大きな動きになる公算もある。米朝関係は米中攻防の一環との位置づけにあるが、メインテーマの米中攻防を見て行く上で、朝鮮半島情勢の変化を注視していく必要があろう。


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/18号)

《CS》

 提供:フィスコ

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