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任天堂「究極大相場」へ、“ポケモン狂騒曲”で関連株も乱舞 <株探トップ特集>


―ナイアンティック売上高20~40%が任天堂へ?―

 14日の東京株式市場は日経平均が4日続伸と上値追いを継続、ただ目先買い疲れ感から上値もやや重くなってきている。しかし、そんな市場のムードなど全く感知することなく、エンジン全開モードで我が道を突き進む展開となっているのが、任天堂 <7974> の株価だ。

●ポケモンGOで急騰ゴーサイン

 今月6日に米国で配信を開始したスマートフォン用ゲーム「ポケモンGO」が想定を大きく超える空前の大ヒット、“ながらスマホ”で事故や事件も頻発し社会現象化するほどの驚異的人気を博している。

 これを受けて、同社株も近年例のない急騰態勢に入っている。前日こそ5日ぶりに反落したものの、きょうは改めて投機資金が押し寄せる形となった。ポケモンGOが米調査会社の調べで、米国におけるスマホゲームの利用者数ランキングで歴代首位に浮上、1日の利用時間は既に対話アプリ「ワッツアップ」や写真共有アプリ「インスタグラム」をも超えていると伝わったことが驚きを持って受け止められ、買い人気が一段と増幅した。

 一時前日比4000円を超える上昇で2万6000円目前まで上昇。株価は動意前夜だった6日の終値1万4380円から、きょうの高値まで80%強の上昇率、この間に時価総額にして実に1兆7000億円弱増加させたことになる。大引けはやや伸び悩んだとはいえ、3470円高の2万5300円と大幅高で着地した。

●売買代金4300億円の衝撃

 さらに特筆すべきはこの日断トツとなった売買代金で、1日で4300億円をこなし市場関係者の度肝を抜いた。これは、売買代金上位の常連でこの日2位だったトヨタ自動車 <7203> の6.6倍という水準。ちなみに3位の三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 以下18位のJT <2914> まで錚々(そうそう)たる企業群の売買代金を合計した水準とほぼ同じで、この日の東証1部全体の売買代金の約6分の1を任天堂1社でこなしたことになる。この流れに乗り遅れたという国内中堅証券営業体では「ポケモンがバケモンを作り上げた」と自嘲気味に言わしめるほどの人気集中ぶりだ。

●米国でポケモンGO社会現象化のインパクト

 ポケモンGOはスマホの位置情報やAR技術を駆使して公園や駅、建物などに潜む「ピカチュウ」をはじめとしたポケモン・キャラクターを探すゲームだ。任天堂が32%の株式を保有する持ち分法適用会社ポケモンとグーグルから独立したナイアンティック社が共同開発したもの。6日に米国、豪州などで配信がスタート、米国では1日当たりの利用者が2000万人を超える状況という爆発的な人気となっている。市場では近日中に日本でも配信が開始されるとの見方が強く、課金収入に伴う任天堂への収益寄与に期待感が膨らんでいる。

 取材に対しポケモン広報部では「かなりの反響を得ている。日本国内での配信準備を進めているが、配信開始日は現状では未定」としている。ナイアンティックにはグーグル、任天堂、ポケモンの3社が出資(他にはフジHDなど)しており、出資比率は明らかではないが、国内証券情報筋によると「ナイアンティックが売り上げた分の20~40%が任天堂に入る公算が大きい」との見方が示されている。また、周辺機器の「ポケモンGOプラス」はスマホの画面を見ていなくても近くにポケモンがいるなどのゲーム情報をランプと振動で知らせるもので、これは任天堂が販売するかたちで収益はすべて任天堂に入るとみられる。

●キャラクターの知的財産で青天井相場!?

 もっとも、任天堂の株価急騰劇の背景は、早晩想定されるこれらの収入による業績面の上乗せ余地だけを買っているわけではない、と指摘する声が市場にはある。

 国内ネット証券アナリストは「ポケモンGOの爆発的な人気により俎上に載ったのは課金収入ではなく、将来の可能性だ。任天堂が保有するキャラクターの知的財産の威力が“含み益”として外国人投資家に改めて注目されている。“マリオ”や“ゼルダ”といったキャラクターで2匹目、3匹目のドジョウを狙うことも全く難しいことではない」と指摘する。さらにこう続けた。「仮にナイアンティックが株式公開すれば超大型IPOとして注目されることは必至で、今の任天堂の3万円未満は海外機関投資家の目には超割安と映っている」。

 こうなると、まさに早い者勝ちで任天堂株式争奪戦の様相を呈しているのもうなずける。

 一部の欧州系外国証券がポケモンGOの収益寄与が不透明として売り推奨を継続しているが、市場関係者の間では「仮に株券調達での空売りも入っているとすれば、売り方踏み上げ相場(買い戻し強制による上昇加速)展開となる可能性あり」との見方も出ている。

●周辺銘柄にも爆発的なポケモン人気波及

 そしてこの人気は任天堂だけではなく、ポケモン関連株に位置付けられる銘柄群にも燎原の火のごとく広がっている。「ポケモンEXPOジム」を昨年開業しているサノヤスホールディングス <7022> が連日の急騰、14日は値幅制限上限の357円まで上値を伸ばしたのをはじめ、ポケモンのアニメ製作子会社を持つイマジカ・ロボット ホールディングス <6879> や、ポケモンGOと同じ位置情報ゲームを配信していることが共通項のモバイルファクトリー <3912> [東証M]もストップ高。また、14日は任天堂以外でナイアンティックに出資しているフジ・メディア・ホールディングス <4676> も一時値幅制限いっぱいに買われる場面があった。

 このほか、任天堂の本拠地京都地盤のメーンバンクで主要株主である京都銀行 <8369> が物色人気に沸いているほか、「ポケモンパン」を製造する第一屋製パン <2215> も一時17%の急伸をみせた。さらに子供向けアーケードゲーム「ポケモンガオーレ」を展開するタカラトミー <7867> 、マーベラス <7844> の上値追いも継続、任天堂とスマホゲーム開発で連携するディー・エヌ・エー <2432> も買いを呼び込んでいる。


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