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西川雅博氏【日経平均一時700円高! 反転上昇は本物か】(2) <相場観特集>


 週明け11日の東京株式市場は前週末の下値模索の地合いから一変、日経平均株価は大幅高で一時700円を超える上昇をみせた。市場の想定を大きく上回る好調な米雇用統計や10日に投開票された参院選では与党が文句なしの勝利を収めたこともあって、一気に買い戻しが進んだ。もっとも、ブレグジット・ショックは依然として尾を引いており、為替の円高進行を背景とした企業業績に対する懸念もくすぶる。不透明な相場環境のなか、果たして今後の東京市場は上下どちらを指向するのか。第一線で活躍するマーケット関係者に意見を聞いた。

●「成長戦略再構築を背景にテーマ性のある新興銘柄に注目」

西川雅博氏(光世証券 執行役員)

 与党大勝とは言え、二者択一の図式であり、改憲容認に向けた動きやアベノミクスの評価が問われたわけでもなかろう。ただ結果的に、経済最優先を唱えた安倍政権が信任を得たことは、今後への期待が継続するという意味で株式市場にはポジティブである。

 アベノミクス完遂のための政権基盤が強固になったことは世界中からも注目を集め、強力な政策発動を通じて株価再上昇の期待も高まろう。選挙前から「投票日から1カ月程度は株安の傾向が強まる」という最近の参院選後のアノマリーを強調する向きがあり、株価にはそうした弱気見通しが過度に織り込まれている可能性がありそうだ。意外高に向かう素地が整っていると言えなくもない。

 前週末に発表された6月の米雇用統計の改善は、NYダウが1年2カ月ぶりの高値をつけるなどインパクトがあった。さらに、雇用増にも関わらず長期金利が低下しており、米国株式市場にとっては、インフレなき持続的成長期待という最も都合のいい状況にあるとも言えよう。

 かたや日本株は、円高圧力が強いことに警戒感もあるが、米国株に比べて割安感は相当大きくなった。当面の株式市場は、補正予算を中心とする経済対策への期待や、好調な米国景気を背景に底堅い動きとなろう。テクニカル的にも、英国のEU離脱が決定した6月24日の安値(1万4864円)が2月12日の安値(1万4865円)とほぼ同水準で下げ止まったダブルボトムの形状は注目に値する。

 月末から本格化する第1四半期決算発表では、急速に進んだ円高の影響で輸出関連銘柄中心に減益懸念がくすぶるが、こちらもドル円で100円レベルまでは織り込まれており、むしろ逆張り狙いの局面と見ている。また、7月19日にマザーズ指数先物取引がスタートするが、成長戦略の再構築を背景にテーマのある新興銘柄の人気は継続するであろう。セクター別では、最近の下落率が大きい電子部品、自動車、機械、財政出動期待でセメント建設など。個別では大林組 <1802> とトヨタ自動車 <7203> に注目している。

(聞き手・加藤智)

<プロフィール>(にしかわ・まさひろ)
1960年奈良県生まれ。1982年早稲田大学政治経済学部卒、大和証券入社 1990年より光世証券 法人部、営業部長、現在コンサルティンググループ担当。


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