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新高値から株価100倍の“ビッグチェンジ”銘柄を見つけ出す―書評「1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術」



 「1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術」(東洋経済新報社)は著名個人投資家DUKE。氏の初の著書。メーカー勤務の“普通の会社員”である著者が「億」の資産を築いた投資法をコンパクトにまとめた好著だ。本書は銘柄選択手法の分かりやすい説明に加え、エントリーポイントや建玉、ロスカットの基準、仕切り、資金管理に至るまでが丁寧に解説されており、極めて“まじめな”投資本となっている。

●新高値の裏に「ビッグチェンジ」あり
 新高値ブレイク投資術は、新高値をつけた銘柄を買い、さらに高値で売却する投資法だ。タイトルだけを見るとテクニカル的な手法の印象を受けるが、実際はファンダメンタルズも重視したテクノファンダメンタルズ投資と言って良い。新高値をつけるような銘柄は、株価が力強く上昇する固有の要因を持っており、高値からさらに上昇していく可能性が強い。DUKE。氏はこの視点から銘柄選択を行い、高値を更新するに至った背景を調査。これにより「ビッグチェンジ」が起きている銘柄を次々に発掘していったという。

 具体的には「妖怪ウォッチ」大ヒットの恩恵で2014年に株価が倍以上に上昇したハピネット <7552> 、「モンスターストライク」で復活を遂げたミクシィ <2121> [東証M]、「パズル&ドラゴンズ」で株価100倍を達成したガンホー・オンライン・エンターテイメント <3765> などを例に、株価が保ち合いをブレイクして高値をつけたタイミングで投資することの威力が説明されている。「新高値ブレイク投資術」はこうした銘柄の大幅上昇を始める時の初動を捉えることができ、大きな資産を築くことが可能なのだ。

 しかし、サラリーマン投資家にとって、銘柄の発掘や調査に割ける時間は限られている。そこでDUKE。氏が勧めるのが株探の利用だ。株価注意報コーナー内の「本日、年初来高値を更新した銘柄」を用い、新値株の中からニュースや業績、チャートなど複数の視点によって、大きな利益につながる「ビッグチェンジ」銘柄を絞り込んでいる。このあたりの詳細な内容は、実際に本書を読むことで参考にしていただきたい。

●試行錯誤の末に編み出された投資法
 さて、DUKE。氏も投資を開始してすぐに成功したわけではない。多くの投資家と同様、初めの数年は何度もの失敗を繰り返し、現在の投資法にたどり着いている。とくに2006年のライブドアショックから2008年のリーマン・ショックに至る下げ相場ではそれまでの上昇相場で得ていた資産を大きく目減りさせ、振り出しに戻ってしまったという。

 並の人物であればここで株式投資から足を洗うところだが、DUKE。氏はここから再度株式投資について徹底的に勉強し直し、幾つかの投資本を元に「新高値ブレイク投資術」に至った。参考にした投資本にはウィリアム・オニールやマーク・ミネルヴィニといった名著「マーケットの魔術師」シリーズで紹介された投資家の著書のほか、ニコラス・ダーバスなどが挙げられている。

 そして、ここから新高値ブレイク投資術とともに、資金管理の方法論も身に着けている。

●ロスカット、ポジションサイズ、資金管理の重要性
 DUKE。氏が成功した手法は成長株への順張りだが、実際の相場の世界は逆張りで成功する投資家もいれば割安株投資でうまくいく投資家もいる。DUKE。氏自身も、デイトレードやスイングトレード、バリュー投資やイベント投資など様々な投資法を実際に試し、その中から「新高値ブレイク投資術」にたどり着き、自分にフィットした投資法を見つけることが大事だと言っている。

 しかし、投資法は様々だが、生き残る投資家が共通して備えているものもある。厳格なロスカット基準や、総資金に占める1銘柄への投資割合の基準など、適切な資金管理がそれだ。

 本書の第5章では玉を建てる際の分割やロスカット基準の決め方、ポジションサイズを守らなければならない理由が明記されている。投資家も初心者のうちは派手な儲け話に目が行きやすく、どの銘柄を買っていくら儲かったなどという話に流されやすい。銘柄選択が当たれば確かに儲かるのだが、相場には山と谷がつきもので、百戦百勝の投資家などはいない。間違ったポジションや過度に膨らましたレバレッジにより、99回の利益で積み重ねた投資資金を1回の損失ですべて吹き飛ばすこともありえるのがマーケットというものだ。

 だからこそ投資家が本当に身につけなければならないのは投資資金を守りぬく厳格な資金管理となる。

 本書は単に買いをあおるだけでなく、当てが外れた際のロスカットの行い方やポジションサイズの決め方、利益確定の方法なども解説されており、それゆえ多くの方に安心して紹介できる内容となっている。銘柄選択の方法について書かれた本は多いが、資金管理について書かれた本は少ない。

 DUKE。氏は第5章の冒頭で「これからお話することは、この本のなかで最も重要なところです」と断り、それからポジションサイズ・マネジメントこそが投資家を守る命綱だと書く。これこそが本書が、単なる一投資手法の紹介に終わらず、株式投資で生き残ろうと真剣に考えている読者に向けて誠実に書かれた本と言える理由になっている。







  1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術
  DUKE。

  東洋経済新報社


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