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4579 ラクオリア創薬

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ラクオリア創薬 Research Memo(5):ライセンスアウト済みプログラムのうち4項目で主要な進捗


■導出済みポートフォリオの状況

ラクオリア創薬<4579>は現時点で、ヒト領域で5化合物、動物薬で2化合物を製薬会社にライセンスアウト(導出)している。2014年12月期上半期においては、アシッドポンプ拮抗薬(RQ-4)、5-HT4部分作動薬(RQ-10)、EP4拮抗薬(RQ-7、動物薬)、及びダルババンシンにおいて主要な進捗があった。

(1)過去半年間で主要な進捗のあったプログラムの詳細

アシッドポンプ拮抗薬(RQ-4)

RQ-4は胃食道逆流症を主たる適応症とするもので、既存の主流であるプロトンポンプ阻害薬(代表的なものに、エーザイ<4523>の「パリエット」、武田薬品工業<4502>の「タケプロン」)に代替する次世代新薬として期待されている。アシッドポンプ拮抗薬の開発においては、武田薬品工業がトップランナーとしてVonoprazan(TAK-438)を承認申請中で、ラクオリア創薬のRQ-4はそれに続く状態となっている。同社はRQ-4の国内第1相試験を2014年6月に開始した。この第1相試験は年内に終了予定で、同社は第1相試験と同時並行で国内市場における導出先を探す計画だ。

TAK-438は現在承認申請中で、2015年3月期中に国内の承認取得が期待されている状況にある。TAK-438が承認されれば、H2ブロッカー⇒プロトンポンプ阻害薬⇒アシッドポンプ拮抗薬という潮流が確立し、2番手を走るラクオリア創薬のRQ-4のライセンスアウトに有利な状況が生まれてくると期待される。

RQ-4が狙う市場規模はかなり大きい。プロトンポンプ阻害薬は全世界で約2兆円とも言われている。同社は当面は国内市場を対象に導出する計画であるため、あくまで国内市場が最大期待値となる。現時点で同社のロイヤリティ収入の規模を想定するのは判断材料に乏しく困難だ。参考値として主要なプロトンポンプ阻害薬の2013年度国内売上高実績を挙げると、武田薬品工業の「タケプロン」が67,600百万円、第一三共<4568>の「ネキシウム」が54,200百万円、エーザイの「パリエット」が47,300百万円となっている。

RQ-4は韓国・台湾・中国の市場については韓国のCJヘルスケア社(以下CJ社)に導出済みであり、CJ社は現在、第2相試験を行っている。これも年内で終了の予定で、2015年初頭には第3相試験へとステップアップする見込みである。またCJ社は、2014年7月に、RQ-4が韓国の「汎部署全周期新薬開発事業課題」事業に採択されたことを発表した。2020年までに合計1兆600億ウォン(政府5300億ウォン、民間5300億ウォン)を投資する国家的新薬開発プロジェクトだ。CJ社は、新薬開発事業への採択により、RQ-4の中国への進出について言及している。

しかしながら、韓国国内の医薬品市場環境を分析すると、新薬の承認申請から承認が下りるまでの期間が平均して約2年と、日本や米国の倍の時間がかかる。また、市場規模の点でも、韓国は日本市場を大きく下回る。CJ社によるRQ-4の新薬発売は早くて2018年以降で、その売上高の規模も年間5,000百万円程度と想定している。ラクオリア創薬が受け取るロイヤリティ収入はその7%~10%程度とみられる。CJ社による臨床試験の早期終了と開発地域の拡大を期待したい。

5-HT4部分作動薬(RQ-10)

RQ-10は胃食道逆流症や胃不全麻痺、機能性便秘などを適応症とする化合物である。セロトニン受容体の1つ(5-HT4)を標的とする薬剤で、同じ薬理作用を有するモサプリド(大日本住友製薬<4506>が『ガスモチン』の商標で販売済み)に比べて非常に強い薬効と高い安全性が期待されている。韓国を中心とする東アジア市場を対象に、韓国のCJ社に導出されているが、その他の地域向けの導出を目指して、ラクオリア創薬自身も臨床試験を行っており、現在は英国で第1相を終了(2013年5月)して、第2相試験を検討中である。

2014年12月期上半期における進捗としては、米国ヴァージニア・コモンウエルス大学でパーキンソン病患者を対象とした、医師主導臨床試験が開始されたことが挙げられる。RQ-10は前述のように、第1相試験を終えており、健康な成人に対して、非常に低い用量(3 μg/body)から明確に胃排出を促進させることが示された。また胃排出効果が確認された用量の1000倍程度の用量でも、安全性に問題がないことが確認されている。

同社はRQ-10の早期のライセンスアウトを目指して2014年中に第2相試験を開始することを検討中である。今回の契約で、パーキンソン病患者の治療においてその効果が実証されれば、RQ-10の導出においても有利に働く可能性があるとみられる。

RQ-10についても具体的な収益貢献を論じるには時期尚早である。日本国内市場については、2013年度の大日本住友製薬の「ガスモチン」の売上高が15,000百万円だったことが推計の参考になろう。CJ社による韓国売上高は2,000-3,000百万円とみられる。

EP4拮抗薬(RQ-7、動物薬)

EP4拮抗薬はイヌ・ネコの変形性関節症を主適応症とする動物薬である。全世界を対象地域として米国のAratana Therapeutics社へライセンスアウト済みであるが、この5月にAratana社はイヌにおける大規模臨床試験を開始した。これはヒト用医薬品開発で言えば第3相試験に相当するものだ。この大規模臨床試験は試験期間が2年間程度と見込まれ、現時点では2016年末までに終了し、新薬の承認申請へと移行するとみられる。通常のケースどおりに進捗すれば、2017年末までに新薬が発売されることが期待される。

市場規模は動物薬としては比較的大きく、北米、欧州それぞれ10,000百万円規模の年間売上が見込まれる。動物薬であってもヒト用医薬品と同じようなロイヤリティ構造となっている模様で、仮に年間売上が20,000百万円の製品となれば、その7%~10%が同社にロイヤリティ収入として入ってくることが期待される(ロイヤリティの割合の数値はあくまで業界一般例の数値であって、同社の実際の契約に基づくものではない)。

ダルババンシン

ダルババンシンはMRSA感染症を適応症とする抗生物質で、元来はファイザーが開発を進めていた医薬品である。欧米市場についてはファイザーから米国Durata Therapeutics社へ導出済みである。ラクオリア創薬は日本市場についてのみ権利を有していたが、これをDurata社に権利譲渡した。2014年5月に米国FDAがダルババンシンを承認したことを受けて、Durata社は7月から米国で販売を開始している。米国市場についてはファイザーがライセンスの導出元であり、ラクオリア創薬の収益には直接影響しない。しかし、米国で認可・発売されたということで、日本国内での臨床試験やライセンシーの探索に弾みがつくことが期待される。臨床試験におけるルールとして、第1相試験から行わねばならないが、その後は外国臨床データを用いて一気に第3相試験に移ることが可能と見込まれる。その場合には最速で2018年の国内市場での上市が期待される。

ダルババンシンはバンコマイシンの代替を狙う存在だ。バンコマイシンは1日2回の投与が必要だが、ダルババンシンには半減期が長い(薬効が長時間持続する)という特徴があるため週1回の投与で済むというメリットがある。米国ではバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)の出現もあってダルババンシンの期待は大きいと思われるが、日本ではVRSAは現状では確認されていない。元来がダルババンシンの適応症が限定的であるため、過度な期待は禁物であろう。国内の年間売上規模については2,000百万円~3,000百万円程度とみられる。但し、肺炎や敗血症など、ダルババンシンの適応症の拡大によっては、売上規模が上振れする可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《FA》

 提供:フィスコ

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