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【特集】早稲アカ Research Memo(4):20年度の学習指導要領改定に対応、プログラミングやオンライン英語サービス開始


■業績動向

3. 新たな取り組みについて
早稲田アカデミー<4718>は2020年度以降の成長を確実なものとしていくため、新学習指導要領で小学生の必修授業として盛り込まれたプログラミング教育や英語教育に対する学習ニーズの高まりに対応すべく、新たなサービスの提供を開始するほか、海外での事業展開についても強化していくことを打ちだしている。

(1) プログラミング教室
2020年度から小学校でもプログラミング教育が導入されることを受け、新たに「CREATIVE GARDEN」のブランドでプログラミング教室を開講する。Sony Global Education(SGE)が開発したSTEM教育※プログラムをベースに共同開発した。授業はSGEが提供する「自ら創る力」を育むためのロボットプログラミング学習キット「KOOV」を使用し、子どもたちの感性を刺激しながら、論理的な思考を身に着けていく内容となっている。「KOOV」については第15回日本e-Learning大賞(最優秀賞)を受賞(2018年)するなど業界でも注目されていた。

※Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったもので、今後のIT社会、グローバル社会に向け国際競争力を持った人材育成を目的とした教育プログラム。


対象学年は小学生低学年とし、2019年9月より早稲田アカデミーの既存校舎2校で先行導入している。今後の計画としては2020年2月より12校舎で開講し(新小学1年生を対象)、2022年度には既存の早稲田アカデミー校舎のうち50校舎以上で開講を計画している。1クラス6名制で、週1回・80分の授業となる。受講料は16,500円/月と、受講時に学習キット「KOOV」の購入費用66,000円が必要となる。プログラミング教育に対する需要は大きく、同社でも先進的なプログラムを導入することで競合との差別化を図り、生徒数を獲得していく方針だ。

(2) オンライン英語学習
英語の4技能の修得が今まで以上に必要とされるなかで、従来の英語カリキュラム(語彙・文法・読解力・リスニング力を育む受験英語指導)にオンライン英語学習を新たに組み合わせた英語指導を開始する。対象は、小5・小6Kコース、中学1年生の塾生となり、小学生では英語授業100分のうち、25分間をフィリピンの講師とのマンツーマン英会話の授業に充当する(中学1年生は120分の授業のうち25分)。オンライン英会話のプラットフォームについては、提携先企業のシステムを利用する。

2020年度より小5・小6Kコース、中1を対象とする全校舎で一斉導入する予定で、受講生徒数は約5,000人となる。同社では塾生数の拡大戦略として、公立進学志望の生徒の取り込みに注力しており、今回のオンライン英語学習サービスの提供もその一環となり、今後のKコースや中学生の塾生数拡大につながるものと期待される。

(3) 海外事業の展開
海外から日本の難関校を目指す帰国生・在外生に対する学習サービスの提供も本格的に取り組みを開始している。具体的には2019年9月にロンドンとニューヨークに早稲田アカデミー直営校を開校した。

また、(株)学研スタディエ及びその子会社との間で、早稲田アカデミーブランドによる海外学習塾事業に関する業務提携契約を2019年8月に締結した。現在、シンガポールで3校、ベトナム、台湾で各1校を開設している。同社は一定のロイヤリティ収入を得て、教材販売や通信添削、帰国後の生徒の受入れなども行うことになる。そのほかの提携塾も含めて2019年9月時点で11か国24都市にネットワークが広がっている。今後もグローバル化の進展とともに、日本人の海外赴任が増加するものと予想され、海外での子どもの学習需要についても確実に取り込んでいく戦略となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SF》

 提供:フィスコ

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