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【経済】NYの視点:米9月FOMCでの利上げの可能性を探る


米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降で初のジャクソンホールで開催された年次経済シンポジウムでの講演で、「利上げの論拠はこの数か月で強まった」と、FOMCが依然利上げ軌道にあることを確認したことをきっかけに、年内の利上げ観測が強まった。加えて、通常はハト派として知られる米ボストン連銀のローゼングレン総裁(FOMC投票権あり)が先週9日の講演で「緩やかな引き締めが理にかなう」との見通しを示したため米国の早期利上げについて、より現実味が出てきた。また、直近7月の米公定歩合会合の議事録要旨で、12地区のうち8地区が公定歩合の引き上げを主張したことが明らかになったことも、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを促す。

ただ、9月連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを決めつけるのは時期尚早のようだ。今週後半には8月の小売売上高や生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)の結果が出る。米国の金利先物市場での9月の利上げ確率は依然22%。一時の1桁台からは上昇したものの、市場は依然として9月連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性は低いと見ている。サプライズを嫌うFOMCは市場の期待が70%前後に上昇しない限り、利上げを実行するとは考えにくい。FRBのブレイナード理事は講演で、ハト派姿勢を維持していることを明らかにした。ブレイナード理事は利上げを急ぐ根拠が見られないとし、「労働市場のさらなる改善を抑制する政策は軽率だ」と指摘した。FOMC内ではイエレンFRB議長やフィッシャー米FRB副議長、ダドリーNY連銀総裁とともに、FRB理事の意見も重きを置かれる。

ただ、ブレイナード理事はビル・クリントン政権で要職を務めた経歴があるほか、ヒラリー・クリントン氏が大統領に選出された暁には財務長官としてブレイナード理事を指名するとの憶測もあり、選挙を控えて、政治的にハト派姿勢を保っているとの非難も聞かれる。


9月FOMCで2016年の投票メンバーのうち、

●利上げに投じると見られるのは:
フィッシャー米FRB副議長、ジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁

●利上げに投じる可能性があると見られているのは:
イエレンFRB議長、ダドリーNY連銀総裁、ブラード・セントルイス連銀総裁

●利上げに投じる可能性は少ないと見られているのは:
タルーロFRB理事、ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事

●不透明なのは:
パウエルFRB理事

《NO》

 提供:フィスコ

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