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【経済】NYの視点;米Q2GDPのネガティブサプライズに備える


米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り利上げを見送った。しかし、同時に発表した声明では、最近の良好な経済指標や6月の強い雇用統計を受けて、経済や労働市場の見通しを上方修正した。さらに、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を控えていたことや5月の弱い雇用統計を受けて、6月会合では金融政策の据え置きを支持した米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、今回の会合で再び0.25%の利上げを主張し据え置き決定に反対。このこともタカ派寄りの声明と判断できる。

しかし、タカ派声明にもかかわらず、市場の金利見通しはほぼ変わらず。米金利先物市場での9月の利上げ確率は26%、12月は43.4%と、50%を下回ったまま。FOMCは9月の利上げにオープンな方針を示したが、9月の利上げには7月、8月の雇用統計で25万人ほどの強い雇用の伸びを続ける必要がある。また、FOMCが予想している本年2.0%前後の成長を実現するには今後3四半期の国内総生産(GDP)で2.3%以上の伸びが必要となってくる。

米商務省は9日に4?6月期の国内総生産(GDP)速報値を発表する。市場エコノミストは前期比年率で2.6%成長と、1?3月期の1.1%成長から伸びが拡大すると見ている。ただ、GDPの発表を29日に控え、アトランタ連銀は4?6月期GDPの成長見通しを従来の2.3%から1.8%に下方修正した。6月貿易赤字の予想以上の拡大が要因。米商務省がGDP算出のために先行して発表した財(モノ)の取引の収支のみの6月の貿易赤字は633億ドルと、5月の611億ドルから拡大。輸出のGDPへの寄与度を、0.17%ポイントのプラス寄与から0.10%ポイントのマイナス寄与に修正。また、在庫投資のマイナス寄与度も0.63%から0.79%へ拡大したと説明した。同連銀は米商務省がGDP換算に使用しているモデルに近いモデルを使用していることからその見通しの正確性に定評がある。

万が一、アトランタ連銀の予想通り4?6月期も2%割れにとどまった場合、下半期には少なくとも2.6%の成長が必要となっくる。予想通りの成長が見られなかった場合、年1回の利上げも危うくなってくる。

《NO》

 提供:フィスコ

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