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【市況】国内株式市場見通し:政策期待と決算アク抜け、ポケモノミクス第2章あるか

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

先週の日経平均は上昇。政府・与党は、月内にもまとめる経済対策の事業規模を20兆円規模とする方向で調整に入ったと伝えられるなか、大規模な経済対策への期待が高まった。また、英国のメイ首相は英独首脳会談で「年内は離脱通知を行わない」と明言したことで、英国の欧州連合(EU)離脱問題による金融市場の動揺は沈静化する格好。前週末に発生したトルコのクーデターは未遂に終わり、過度な警戒感は後退している。このようななか、円相場が1ドル107円に乗せていることも材料視され、日経平均は一時16900円台を回復する場面もみられた。ただ、週末にかけては、日銀の黒田総裁は6月の発言で、ヘリコプターマネーについて否定していたことが伝わると、為替市場で1ドル105円台の円高に。これを受けて週末の日経平均は一時16600円を下回るなど、利益確定の流れとなった。東証マザーズ指数先物がスタートしたが、商いは膨らまず、逆ザヤのなかで関心はそれ程高まらなかった。

その中で市場の関心が集まったのが「ポケモンGO」のローンチが待たれていた任天堂<7974>を中心とするポケモノミクス相場だった。米国でのローンチ以降、動意をみせていた任天堂は、先週も活発な取引が続いており、20日の売買代金は7323億円にまで膨れた。同日のトヨタ自<7203>の売買代金が438億円だったことからみても、ポケモノミクス相場の異常なほどの盛り上がりが目立った。ポケモノミクス関連への物色に広がりがみられており、週末には日本マクドナルド<2702>も売買代金でトヨタ自を上回っている。

ポケモノミクス関連についてはさすがに買い疲れ感が出ているほか、日本上陸によって材料出尽くし感も意識されやすい。22日の米国市場では任天堂のADR(米国預託証券)は12%超の下落となっている。しかし、菅官房長官が記者会見で注意喚起し、普段誰もいない公園に数百人が集まるなど、社会現象をみせている。ダウンロード数などの人気度合いが注目されるほか、関連する企業の裾野も広がる可能性があり、ポケモノミクス相場に対する市場の関心が一気に冷めることは無さそうである。

また、先の報道等から可能性は低いとはいえ、28、29日に日銀が金融政策決定会合において黒田総裁はヘリコプターマネーを決断するかが注目される。当然、市場はこれを見極めたいとする模様眺めムードが強まりやすいほか、それまでは出来高が膨らみづらく、先物主導による仕掛け的な売買の影響を受けやすくなる。さらに本格化する決算を見極めたいとするムードも強いであろう。主要企業の決算が相次ぐほか、800社を超える企業の決算が予定されており、こう着感の強い相場展開が続こう。ただし、ヘリコプターマネーについての否定的な発言に対しても、為替市場では1ドル105円台での底堅さがみられていた。105円台であれば輸出関連への業績懸念に対する過度な警戒は再燃することはないとみられる。反対に減益決算等が織り込まれているなか、決算がアク抜けにつながる展開が意識されやすい。

また、政策期待から先週はカジノ関連の一角が動意をみせていた。長期的に物色の圏外に置かれていた面もあるだろうが、循環的な物色がみられてくるようだと、相場の先高期待が高まってくることになりそうだ。決算については米国ではアップル、キャタピラー、ツイッター、マクドナルド、ボーイング、フェイスブックなど主要な企業が予定されている。国内では、キヤノン、日産自、任天堂、ファナック、三井住友、野村HD、ソフバンク、新日鉄住金、村田製、ソニー、パナソニク、みずほFG、三菱重、ドコモなどが予定されている。その他、ネイバーの決算も予定されており、上場初日に5000円をつけた後は4000円割れで推移しているLINEの動向も注目されそうである。

経済指標では26、27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。米連邦準備理事会(FRB)景気先行きに関してやや前向きな見方を示すとの観測があるため、利上げへの思惑が再び高まる可能性がある。その他、29日に4-6月期の米GDP速報値が発表される。

《FA》

 提供:フィスコ

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