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【特集】熊本地震で見直される「耐震補強関連」 <GW特集>

浅沼組 <日足> 「株探」多機能チャートより

―国土強靭化、試される真価―

 4月14日午後9時26分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、最大震度7が観測された。その28時間後の16日午前1時25分ごろには、同じく熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、再び最大震度7が観測された。

 その後も、熊本県阿蘇地方や熊本県天草・芦北地方や大分県においても規模の大きな余震が相次いで発生。これらにより、住宅・構造物の倒壊をはじめ、土砂崩れ、道路の陥没や寸断、橋梁の崩落など社会インフラに関しても多大な被害が生じている。

●避難所となる学校や体育館にも大きな被害

 なかでも注目されているのが、避難所として利用される校舎や体育館などの被害だ。

 昨年4月の時点で、震度6強の地震に耐え得るのは全国の公立小中学校で95%に達している。にもかかわらず、今回の熊本地震では、学校や体育館など関連施設への被害は、県立高校の約4分の3、市町村立小中学校の8割超に及ぶことが明らかになった。校舎や関連施設が損壊するなどの被害のほか、水道やガスなどのライフラインが寸断されたものもあるが、本来、避難所として機能するはずだった体育館が損壊し、別の避難所に移動せざるを得なかった被災者もいる。耐震基準を含め、今後の耐震補強のあり方を見直す可能性も出てきている。

 これに伴い、大成建設 <1801> や大林組 <1802> 、鹿島 <1812> といった大手ゼネコンだけでなく、学校の耐震補強で実績のある中堅ゼネコンの浅沼組 <1852> 、建物を使い続けながら耐震化を図る独自の耐震補強工法「制震ピタコラム工法」で小中学校の耐震化工事などを多く受注してきた矢作建設工業 <1870> などは需要増が見込めそうだ。また、耐震化工事の際に用いられる補修・補強用ケーブルを手掛けるエスイー <3423> [JQ]などもさらなる耐震補強へのニーズから関心が高まることになろう。

国土強靭化関連にも改めて注目

 政府は、2011年3月11日に発生した東日本大震災から得られた教訓を踏まえ、「国土強靭化基本計画」を策定。また、昨年6月には、これに基づき1年ごとの「国土強靭化アクションプラン2015」を策定している。今回の熊本地震では、これら国土強靭化計画による取り組みの真価が試されることになる。

 政府の試算では、13年時点の国土強靭化に関する民間市場の市場規模は住宅の耐震化やバックアップ施設の整備などの「コア市場」で約8兆円、関連市場で約4兆円であったとしており、20年にはコア市場の規模は11兆8000億円から13兆5000億円に拡大すると見込んでいる。

 当然、これに関連する企業にとっても事業機会の拡大につながるとみられており、橋梁やコンクリート構造物の耐震補強最大手のショーボンドホールディングス <1414> や、橋梁大手のピーエス三菱 <1871> 、横河ブリッジホールディングス <5911> 、駒井ハルテック <5915> 、さらに不動テトラ <1813> 、ライト工業 <1926> 、日特建設 <1929> といった地盤改良大手など国土強靭化関連銘柄を改めて見直す動きにつながりそうだ。


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