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【特集】TYO Research Memo(1):インドネシアの国内資本系最大規模の広告会社グループから事業継承


ティー・ワイ・オー<4358>は、TV-CMの企画・制作をはじめ、ブランディングやWebを中心としたデジタル広告、スマートフォンアプリなどあらゆる広告コンテンツの企画・制作を手掛けているクリエイティブエージェンシーである。好調な受注環境が続くなか、消費者の印象に残る数々のCM制作を手掛けてきたクリエイティブ力と幅広い広告の制作に対応するワンストップソリューションを武器として順調に業績を拡大してきた。

同社は2014年7月期を初年度とした中期経営計画を進めている。広告代理店取引の継続強化に加えて、広告主直接取引の躍進、海外事業の新規展開によって、2017年7月期の売上高40,000百万円、営業利益2,700百万円を目標としており、3年間の平均成長率では売上高が年率14.6%、営業利益が同16.4%と高い伸びを見込んでいる。特に成長分野と位置付けている広告主直接取引は、従来のTV-CM制作やWeb制作における優位性や顧客接点を生かしながら、あらゆる広告制作市場をターゲットとして同社グループの成長に取り込んでいく戦略である。加えて、ASEAN及びインドを中心とした海外展開も戦略的M&Aの実現に向けて準備を進めてきた。

その結果、2015年3月に海外事業の統括管理会社をシンガポールに設立すると、2015年7月にはアジアにおける戦略的M&Aの第1段階として、インドネシアに合弁会社(PT TYO FIRST EDITION)を立ち上げ、インドネシアの国内資本系では最大規模の広告会社(The First Edition)グループから事業を継承して活動をスタートさせた。また、2015年8月にグラフィック領域に強みがあり、アジア地域を中心とした海外にもネットワークを持つ(株)ケー・アンド・エル(以下、K&L)を連結子会社化した。

ただ、2016年7月期第2四半期累計期間の業績は、売上高が前年同期比9.5%増の13,791百万円、営業利益が同43.4%減の408百万円と増収減益となったが、売上高、利益ともに期初予想を下回った。好調な受注環境を追い風として広告事業が伸長したものの、第1四半期での低利益率案件による出遅れに加えて、インドネシア子会社及び映像関連事業の低迷が業績の足を引っ張った。

2016年7月期の業績予想について同社は、上期業績等を勘案して減額修正を行った。修正後の業績予想として、売上高を前期比5.7%増の30,000百万円、営業利益を同20.4%減の1,500百万円と見込んでいる。

弊社では、想定外の要因が重なったことで今期の業績はやや足踏みとなる見通しであるが、注力する広告主直接取引において一定の成果が出始めていることに加えて、先行投資的な人員増強が図られていることなどから、今後の事業拡大に向けた施策は着実に進展しているものと評価している。M&Aの第2弾を含め、来期(2017年6月期)以降の成長に向けた取り組みなど成長戦略の進捗に注目していきたい。

■Check Point
・グラフィック領域に強く、海外ネットワークを有するK&Lを連結子会社化
・案件選別を厳格化することの影響をふまえ、業績予想は保守的
・総資産回転率や財務レバレッジが高いためROEは他社より高い

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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