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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「年度末でも下値抵抗線注視は続く」

株式評論家 富田隆弥

◆さて3月も後半、年度末が近づいてきた。配当や分割の権利取りのタイミングであるほか、企業にとって株価(株高)が意識され、市場全般に需要(買い)が旺盛となりやすい。それを目論んだ先回り買いが中旬から活発となり、新年度入りの4月相場につながることは珍しくない。

◆今年の日経平均株価は2月12日(1万4865円)を底に、直近高値は1万7291円(3月14日)と戻り歩調で来ている。年初からの下落がきつかっただけに、早めに底打ちした可能性はあるだろう。日足は25日移動平均線を上抜き、壁になっていた一目均衡表の「雲」(1万6828~1万7720円)に突入したことで、75日線や「雲」上限、週足の「雲」下限などの集まる1万7400円台を目指していると言える。世界相場のカギを握るNYダウ工業株30種平均が1万7300ドル台まで回復し、年初来の下落をほぼ取り戻してきた。ダウが弾みをつけるなら、日経平均も節目の1万7400円台をクリアし、一気に15年年末の1万9000円水準を目指して弾みをつけてもおかしくない。

◆ただし、日経平均は13週線(1万7074円)に差し掛かったほか、1万7400円台の節にも近づいている。2月12日安値から引く下値抵抗線が1万6850円処にあり、上値追いにはその抵抗線を維持している必要がある。NYダウは、FOMCの結果を好感し連騰(16日現在4日続伸)しているが、1万7000ドル台は昨年来の厚い節目で、ポイントの52週線(1万7300ドル)にも到達した。続伸の裏には「そろそろ」という調整観測も孕むことから、調整を入れたときは1万7000ドル近辺にある下値抵抗線がやはり注視される。

◆中国の全人代、日本の日銀決定会合、そして米国のFOMCと重要イベントを通過し、株式市場は「同時株高」の流れを見せている。原油価格の戻り歩調も追い風で、こうした流れが続くなら3月期末~4月相場と上値追いも可能なだけに「買い」主体の対応で構わない。だが、下値抵抗線をもし割り込むならスタンスも変わる。年初の急落で波動を崩したことを改めて思い出さねばならず、「慎重姿勢」が必要となる。

◆株価が上がると「イイとこ取り」するのが市場だが、為替の円高、未曾有の高値圏にある債券価格、上向かない景気など、日本市場は見逃せない懸念も孕んでいる。下値抵抗線を割るとそうした懸念が表舞台に出てくるので、下値の監視は怠れない。

(3月17日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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