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【通貨】為替週間見通し:ドル・円は伸び悩みか、日本の10-12月期GDPを見極める展開


■ドルは一時111円割れ、米利上げペース鈍化懸念でドル売り

先週のドル・円は続落。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10日に開かれた議会証言で金融環境は引き締まっていると指摘し、米利上げペースは大幅に鈍化するとの観測が広がった。日本株の大幅下落も嫌気され、11日午前の欧州市場でドルは一時110円99銭まで下落し、2014年10月31日以来となる1ドル=111円割れを記録した。

しかしながら、同日の欧州市場で日本銀行が為替取引状況を金融機関に確認したとの噂が流れたことでドルは113円台に急反発。12日には黒田日銀総裁が首相官邸に出向いて安倍首相と最近の市場動向について意見交換したことから、早期追加緩和への思惑が広がり、リスク回避的な円買いは後退した。

12日の欧米市場では、ダドリーNY連銀総裁が「米国経済は依然強い」と発言したことや1月の米小売売上高が予想を上回ったことを好感してドルは113円54銭まで上昇し、113円21銭でこの週の取引を終えた。先週の取引レンジは110円99銭から117円53銭となった。取引レンジは110円99銭-117円53銭。

■ドル・円は伸び悩みか、日本の10-12月期GDPを見極める展開

今週のドル・円は伸び悩みか。リスク回避的な円買いは一服したが、米3月利上げ観測は後退しており、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる状況ではないとみられる。市場関係者が注目している日本の10-12月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率-0.7%と予想されており、7-9月期の+1.0%との比較で成長率は悪化する見通し。

10-12期GDPが市場予想とおおむね一致した場合、日本銀行は当座預金に適用する金利をさらに引き下げる(マイナス金利の拡大)ことを早急に検討する可能性がある。マイナス金利の拡大は金融機関の収益を圧迫し、銀行株への影響が懸念されることから、日本のGDP成長鈍化によってリスク回避的なドル売り・円買いが再び強まる可能性は残されている。

一方、積極的なドル買い材料は多くないが、1月米鉱工業生産や1月米消費者物価指数などの主要経済指標が市場予想と一致または上回った場合、米長期金利は上昇する可能性がある。株高も期待されることから、ドル買い・円売りが優勢となる可能性がある。

【日・10-12月期国内総生産(GDP)】(15日発表予定)
15日発表予定の10-12月期国内総生産(GDP)は、7-9月期の前期比年率+1.0%に対して-0.7%と大幅な悪化が見込まれている。予想通りであれば、日本経済の先行き不透明感が強まるため株安が進み、ドル売り圧力が強まる可能性がある。

【米・1月消費者物価コア指数(CPI)】(19日発表予定)
19日発表の米1月コアCPIは前年同月比+2.1%と予想されており、インフレ率は12月実績と同水準になる見込み。予想通りならば、インフレ鈍化への懸念はやや後退し、3月米利上げに対する期待が再浮上する可能性があるだけに注目される。予想通りの数字ならば、ドル買い要因になりそうだ。

予想レンジ:111円00銭-115円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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