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【特集】VTHD Research Memo(5):第2四半期は増収・大幅な営業増益・経常増益


■業績動向

(1) 2016年3月期第2四半期の業績

○損益状況
VTホールディングス<7593>の2016年3月期第2四半期決算は、売上高が72,068百万円(前年同期比15.0%増)、営業利益が3,763百万円(同32.5%増)、経常利益が3,742百万円(同29.6%増)、四半期純利益が1,881百万円(同9.4%減)となった。

M&Aによる新規子会社の寄与によって売上高は前年同期比で大幅に増加し、半期ベースで史上最高となった。売上総利益率は、利益率の低い海外子会社が増えたものの19.4%(前年同期19.5%)とほぼ前年並みを維持した。主力の新車販売部門、中古車販売部門及び収益性の高いサービス部門で増収・増益となった。また販売管理費は新規子会社が増えたこともあり10,235百万円(同9.5%増)となったが、対売上高比率は前年同期の14.9%から14.2%へ低下、その結果、営業利益は前年同期比で大幅な増益となった。ただし保有する海外企業の株式(子会社株式の売却に伴い取得した)の評価損等(572百万円)を計上したことから、四半期純利益は前年同期比9.4%の減益となった。

主な部門の状況は下記のとおりとなった。

(新車部門)
2016年3月期第2四半期の国内新車市場は、届出車(軽自動車)の減少が影響し販売台数は233万台(前年同期比5.8%減)となった。このような市場環境の中で、同社の新車販売台数は13,294台(同4.0%増)となったが、M&Aによる海外子会社の寄与分が含まれており、国内だけを見れば前年同期比ではマイナスであった。このような状況から新車部門の売上高は30,248百万円(同11.4%増)と増加したが、粗利益は4,318百万円(同2.2%増)と伸び悩み、粗利率は14.3%(前年同期は15.5%)へ低下した。

(中古車部門)
国内の中古車販売台数は244万台(同1.5%増)とほぼ前年同期並みであったが、同社グループの中古車販売台数は22,997台(同1.3%減)と微減となった。しかし販売単価・台当り粗利が改善し、中古車部門の売上高は22,339百万円(同22.2%増)、粗利益は2,984百万円(同48.7%増)となった。その結果、粗利率は13.4%(前年同期は11.0%)と改善した。

(サービス部門)
サービス部門の売上高は13,693百万円(同9.7%増)、粗利益5,082百万円(同11.7%増)、粗利率37.1%(同36.5%)となった。国内における乗用車保有台数は安定的に推移しているが、前年同期はリーマンショック後に販売が落ちた時期の2回目の車検と震災後に販売が落ちた時期の最初の車検が同時に重なったことから全体的に車検対象の台数が少なくなり、想定以上に売上げが伸び悩み、減収・減益であった。この上半期はこれが通常な状態に戻ったことから、前年同期比では増収・増益となった。

(レンタカー部門)
レンタカー部門は新規の出店効果などもあり、売上高は2,936百万円(同11.0%増)、粗利益は1,191百万円(同8.5%増)と増収・増益を達成した。

レンタカーの保有台数(12,440台、2015年3月時点)は業界第6位(トップはトヨタレンタリースの107,076台)だが、同業他社に比較して同事業の利益率は高く、子会社J-netレンタリースの経常利益率15.4%(同)は業界トップクラスである。グループ内で新車・中古車の販売を行っていることから損保業界とのつながりが深く、このことがJ-netレンタリースの高い利益率の要因となっている。

(注)損保業界にとって最大の顧客は新車や中古車の購入者であり、レンタカー業界にとって最大級の顧客が損保業界(代車需要)となっている。

(住宅・その他)
同社は、2014年8月1日付で、東証2部上場で分譲マンションの企画・販売を手掛けるエムジーホーム<8891>を株式交換により連結子会社化(それまで持分法適用会社)した。この上半期はこのエムジーホームが6ヶ月間寄与しており、この効果もあった住宅・その他部門の売上高は2,849百万円(同35.9%増)、粗利益は421百万円(同35.8%増)と大幅な増収・増益となった。

○主要子会社の状況
既述のように同社グループは多くの企業によって形成されているが、主な子会社の状況は以下のようであった。

(ホンダカーズ東海)
上場時の母体企業であり、ここで培われた運営ノウハウがグループ傘下の各社に注入され収益性強化に寄与している。拠点数は、新車販売が27、中古車販売が1となっている。

この2016年3月期第2四半期は、売れ筋のステップワゴンがフルモデルチェンジや新型コンパクトステーションワゴン「シャトル」の発売などがあったが、リコールが相次いだこともあり売上高は9,900百万円(前年同期11,000百万円)、経常利益610百万円(同820百万円)と減収・減益となった。経常利益率も6.1%(同7.4%)へ低下した。

(日産系子会社)
日産車は目立った新車の発売はなくマイナーチェンジがメインであったが、自動ブレーキ車に対するニーズが高まったことや「嵐」を使ったTVCMの影響などから全体的には好調に推移した。

長野日産:売上高は11,100百万円(同10,800百万円)、経常利益は1,340百万円(同1,010百万円)と増収・増益となった。

静岡日産:売上高は9,700百万円(同9,700百万円)とほぼ横ばいであったが、サービス部門の改善などから経常利益は970百万円(同810百万円)と増益となった。

三河日産:売上高は5,800百万円(同5,500百万円)と増収になり、経常利益も420百万円(同220百万円)と改善したが、前年同期が悪すぎたためで、ほぼ一昨年上期レベルに回復した。

日産サティオ埼玉:売上高は5,100百万円(同4,800百万円)、経常利益は300百万円(同100百万円)と増収・増益であるが、利益水準はまだ一昨年同期(420百万円)まで回復していない。

(CCR MOTOR)
英国最大の三菱自動車<7211>のディーラーで9拠点を有する。三菱車の販売不振に苦戦しているが、中古車やサービス部門の収益性向上により会社全体の収益性は改善しつつある。売上高は6,400百万円(同5,300百万円)と大幅増収となった。損益面は依然として経常損失(20百万円)であるが前年同期(160百万円)からは改善しており、黒字化も射程圏内になりつつある。

(GRIFFIN MILL GARAGES)
英国のサウスウェールズ地方でマルチブランド(Peugiot, KIA, FIAT, Nissan, Renoult, DACIA)の自動車ディーラーを2店舗展開中。この上半期の売上高は4,530百万円、経常利益80百万円であった。直接の利益寄与は小さいが、英国内では上記のCCR MOTORとの連結納税が可能であるため、その点での寄与はある。

(トラスト<3347>)
東証2部上場の子会社で主力事業は中古車の輸出販売。車両ラインアップの強化、Webサイトの改善、一部B2B販売の強化等に加えて、主力のアフリカ地区での陸送サービスやアフターサービスの充実を図り販売は堅調に推移している。上半期の売上高は3,870百万円(前年同期3,450百万円)、経常利益190百万円(同130百万円)となった。

(J-netレンタリース)
新規出店の効果もあり、売上高は3,680百万円(同3,380百万円)、経常利益510百万円(同450百万円)と過去最高の売上高、経常利益を達成した。予約サイトの強化、TVCMの継続実施など個人顧客の獲得に注力する。加えて年10店舗ほどを増やしていく計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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