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【特集】<話題の焦点>=空き家リノベーション待ったなし

 総務省の試算によると、人口が減る(2019年をピークに全国の世帯数が減少)一方で、新しい住宅供給は進み(14年度の新設住宅着工戸数は約88万戸)、すでに15年時点で全国の空き家は約820万戸に達している(全国の空き家率は13.5%)。今後、人口減少への対応や空き家の活用、中古住宅流通市場の整備が進まない場合、33年には全国で空き家が2150万戸、空き家率は30.2%にまで拡大してしまうという試算もある。空き家増加への対策は待ったなしの課題となっている。

空き家は多方面に悪影響

 空き家のもたらす悪影響は多方面にわたる。まず問題なのは、建物の老朽化。家屋は入居者がいたほうが傷まないというのは自明の理。二つ目は植栽や雑草などによる景観の悪化。庭の雑草などの繁茂は景観面に加え、衛生害虫の発生や猫などの小動物が棲みつくなどで不衛生を招く。三つ目は防犯上の懸念で、放火や不法侵入、不法投棄の温床になる可能性がある。四つ目は防災上の不安で、屋根や瓦、壁などが崩落または破損して道路を塞ぎスムーズな避難を妨げるなどの恐れがある。

 こうした空き家を放置する事態を少しでも防ぐために、リノベーションの動きが加速することになりそうだ。個別銘柄では、インベスターズクラウド<1435>が15年12月14日、民泊向けリノベーションサービスを開始すると発表。東京・大田区で一定のルールのもと事業が認められるなど民泊促進に向けた動きが活発化するなか、今後の需要拡大などが期待されている。同社は中古マンションのリノベーションサービス「スマリノ」で、民泊向けリノベーションサービスに関する問い合わせ窓口を開設し、物件探しから施工企画などの相談を受け付ける。

 住友不動産販売<8870>は、中古の一戸建て住宅やマンションの売買とそのリフォーム事業を積極化している。さらに、日本アクア<1429>は、一戸建て住宅向けの硬質ウレタンフォームを使用した断熱材の施工・販売を主力とし、リフォーム事業を強化している。

国交省は「賃貸カスタマイズ」推進

 一方、国土交通省は、空き家を賃貸物件として流通しやすくするため、借り主のDIYを促す「賃貸カスタマイズ」を推進している。従来、賃貸住宅の場合、借主は退去時に「原状回復義務」を負うため、壁に釘1本打つのもご法度というのが常識だった。ところが最近は「改造OK」で、原状回復を求めないケースも増えているという。そこで注目なのが借り主のDIY。東急不動産ホールディングス<3289>子会社の東急ハンズは、同社の女性スタッフによる「ハンズ女子DIY部」を結成し、昨年7月に専用サイトをオープンするなど、女性向け需要開拓を積極化している。これは、自宅のインテリアなどを自分の手でカスタマイズしたいという女性のニーズが高まっているのに対応したもの。さらに、ケーヨー<8168>は、関東地盤の大手ホームセンターでDIY用品については、電動工具のテレビCMを実施するなどして訴求に努力している。

出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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