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【特集】<急騰株の深層を探る> 株高旋風に乗る保土谷化、有機ELで飛躍へ

 保土谷化学工業<4112>が前日のストップ高の余勢を駆って続伸、一時24円高の255円まで上値を伸ばした。株価の値動きもさることながら売買高は前場段階で5000万株を超え、前日終日分の10倍以上に膨らんでいることも、市場の注目度の高さを物語る。

 26日付の日本経済新聞が「米アップルがスマートフォン『iPhone』の表示装置として有機ELパネルを採用する。部品メーカーなど複数の取引先に伝えた」と報じたことが、有機EL分野で一目置かれる同社の物色人気の発端となった。特に同社の場合、株価が2012年11月以来の大底圏にあったことで、そのインパクトが大きくなったが、きょうは韓国LGが有機ELの新工場に巨額投資するとの日経報道がさらに株高期待を増幅させている。

 有機ELディスプレーは積層構造となっており、正孔輸送層と電子輸送層がプラスとマイナスを運んで発光層で結合して輝く仕組みとなっている。同社は主にこの正孔輸送層に使われる正孔輸送材を作製している。また、韓国子会社のSFCは発光体の方を生産しており、現在サムスン向け以外の受託生産を拡大する方向で動いている。本紙の電話取材に対し会社側では「需要先について具体的な社名は言えないが、韓国のもう一つの大手メーカーと中国メーカーを意識している」としており、韓国LGが中小型有機液晶パネルの新工場建設に動き、数年間で1兆円超の投資規模となることが報じられる中、同社にとって強力な追い風環境にあることは会社側も認めている。

 一方、同社株には株式需給面での思惑もつきまとう。同社の筆頭株主の東ソー <4042> が9%をメドに保有株を減らす方針を明示しており、この機械的な売り圧力が今年6月以降の株価調整に反映されていた。しかし、直近の東ソーの保有株比率は8.32%まで下がっており、株売却は打ち止め状態にある。

 また、主力取引行のみずほも持ち株調整に動いていたが、現在の保有株比率は3.55%で、これもほぼ底辺に達しているとみられる。こうなると解散価値を大きく下回る0.6倍台のPBRががぜん輝きを増す。大株主の売り圧力から解放され指標面での水準訂正余地が浮き彫りとなっていることも、投機資金の攻勢を側面支援する有力な根拠となっている。

出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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