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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「過熱無視のアヤ戻り」

株式評論家 富田隆弥

◆11月19日現在、日経平均株価は1万9959円まで上伸、2万円大台が指呼の間だ。パリ同時テロで一時はどうなるかと不安に駆られたが、欧米株ともどもマーケットはテロに屈せず「同時株高」で応えた。まずはホッとしたところである。

◆だが、日経平均は9月29日安値1万6901円から3000円強戻し、テクニカル指標の過熱が続く。19日現在のサイコロは10勝2敗で、警戒とされる9勝3敗・75%以上がこれで11日連続だ。

◆今年は春先から過熱を無視した上昇が幾度となく見られ、5月19日から6月5日にかけてはサイコロ75%以上が14日間続いた。日銀のETFや年金マネーが下げれば惜しみなく買いを入れてくる。いわゆる「PKO相場」が今年の特徴で、日足の下値抵抗線に沿った上昇基調を維持するなら、師走に向けさらなる上伸も十分可能だろう。

◆だが、そんな相場であっても上げればどこかで必ず調整を入れる。春先の無理強いが夏場の急落を招いたように、過熱を無視した上昇は「上げれば上げるほど調整リスクを高める」、それも相場である。その意味で、10月から引ける日足の下値抵抗線に注視しておきたい。チャートでは「テクニカルよりトレンドを優先する」が、この抵抗線を割り込むとテクニカルの過熱が一気に解消に向けて襲いかかってこよう。

◆まもなく師走。株価の上伸もあり、証券界も投資家も「強気観測」が目立ってきた。だが、9月安値から8週を経過(5月以降は8週サイクルが存在する)。週足のテクニカルにも高値信号が出てきたほか、チャートの形状はサブプライム序盤の2007年後半と酷似する。その07年は12月上旬にアヤ戻りの頭を叩き、年末年始の試練に向かった。

◆夏場の大きな亀裂はチャート上で意味がある。その後の過熱を無視した上昇は、先行きリスクを否めなくする、そんな見方があることを覚えておいてほしい。

(11月19日 記、毎週土曜日9時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ


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