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【特集】電子マネー「戦国時代」、4兆円市場の覇者を追う <株探トップ特集>

ローソンの日足チャート 「株探」多機能チャートより

―ローソン参入、激化する経済圏拡大競争―

 ローソン <2651> は3日、電子マネー「おさいふPonta(ポンタ)」をスタートさせた。電子マネー市場は年々拡大しているが、大手流通企業や鉄道会社などの間では顧客の囲い込み競争が激しい。ローソン参入で勢力図に変化はあるのか。消費者のみならず株式市場でも関心が高まっている。

 電子マネーとは、電子的なデータのやりとりによって決済を行うサービスで、事前にお金をチャージ(入金)したうえで、買い物をする際に現金の代わりとして利用することができる。その利便性から1人が2~3枚持っているケースも少なくなく、日銀の調べでは2014年末の累計発行枚数は約2億5500万枚(10年末時点は約1億4600万枚)で、年間の決済金額は4兆円(10年は約1兆6000億円)規模に成長している。

●ローソン・JCBのタッグで勢力図に変化も

 ローソンが新たに開始した「おさいふPonta」は、信販大手のJCBブランドのプリペイド機能が付いていることが大きな特徴だ。これまでの共通ポイントカード「Ponta」では利用できる場所が約2万4100ヵ所(10月1日時点)であったのに対し、JCBと提携したことで約900万ヵ所と大幅に拡大。「多くの購買履歴情報が得られるメリットを商品開発などに生かしていきたい」(広報室)といい、数年内に2000万枚の発行を目指すとしている。

 流通系の電子マネーではセブン&アイ <3382> の「nanaco(ナナコ)」やイオン <8267> の「WAON(ワオン)」が先行しているが、ローソンとJCBがタッグを組んだことは業界に影響を与えそうだ。

 例えばセブン-イレブンは現在、JR東日本 <9020> の「Suica(スイカ)」などの交通系以外は、他社の流通系に門戸を開いていない。ただ、これからはJCB加盟店で使える「おさいふPonta」で買い物することができるとあって、「ナナコ」は新たな施策を打ち出す必要性に迫られる。12月15日からはローソンで「ワオン」での店頭決済および現金チャージができるようになるが、「顧客の利便性向上や現金管理の負担軽減が期待できる」(前出の広報室)だけでなく、自陣の経済圏拡大といった思惑などもありそうだ。

●ファミリーマートの動きにも注目

 また、コンビニではファミリーM <8028> の今後の動きにも注目が集まる。同社はTポイント・ジャパン(東京都渋谷区)の「Tマネー」陣営に属しているが、来年9月に経営統合することで合意しているユニーGHD <8270> は独自の「ユニコ」を手掛けており、今後の動向が注目される。

 また、ユニーGHDが展開しているサークルKサンクスは楽天 <4755> 系のポイントカードを発行している。Tポイント・ジャパンにはソフトバンク <9984> とヤフー <4689> が出資していることから、ファミリーMが楽天側とソフトバンク・ヤフー側のどちらを選択するかが注目され、これが電子マネー業界再編の引き金を引く可能性もある。

●電子決済企業にビジネスチャンス

 電子マネー業界で再編機運が高まれば、当然のことながら決済ビジネスを手掛ける企業にもビジネスチャンスが生まれることになる。

 ASJ <2351> [東証M]やウェルネット <2428> 、ビリングシス <3623> [東証M]、電算システム <3630> 、フライト <3753> [東証2]、GMO-PG <3769> 、Dガレージ <4819> [JQ]などにも注目したい。

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