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【特集】冨田康夫【日本株2】秋の相場観特集_01 /郵政3社のIPOは市場活性化の起爆剤に

冨田康夫
日刊株式経済新聞 編集長 冨田康夫

 この秋相場は、注目の郵政3社の株式上場(11月4日)をきっかけに、再び活気を取り戻すことになりそうだ。市場の一部には「超大型のIPOで市場から資金が吸い上げられ、需給関係が悪化して全体相場も低迷する」との見方もあるが、個人投資家を中心に新規(現在株式市場に投資されていない)資金で購入したいとする要望が多いといい、需給懸念は杞憂に終わりそうだ。

 株式投資を新たに始めた個人投資家が資産を増やすことにつながれば、それが消費を喚起させ、国内景気自体を押し上げる起爆剤にもなり、アベノミクスが掲げてきた“デフレ脱却”実現への大きな支援材料となる。ただ、郵政3社の上場が芳しくない結果に終われば、現状の低迷相場がさらに長期化することにもなりかねない。

 もう一つの焦点は、10月下旬から本格化する16年3月期第2四半期累計(4~9月)決算の発表だ。中国景気の減速に伴うさまざまな分野での需要減少が、日本の輸出企業の業績を後退させるとの懸念が強まっている。実際に鉄鋼や建設機械などの分野では、通期業績の下方修正を強いられるケースも出ている。ただ、一方で円安や原油安を背景とした業績押し上げ効果も無視できない。

 通常、上場企業は第1四半期(4~6月)決算発表時点での通期業績の修正発表にはかなり慎重だが、第2四半期累計決算時点では、上方修正に踏み切る企業も多い。原油安メリットを享受する化学、ゴム製品、値上げ浸透の効果が見込める食品、受注環境が改善をみせている建設などにも注目したい。また、輸出関連でも、先行して株価がかなり下落していた銘柄については、悪材料出尽くし感から見直し買いが入る可能性もある。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【秋の相場観】特集より

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