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【市況】為替週間見通し:ドルは堅調推移か、米経済指標良好ならば126円到達の可能性


■ドルは伸び悩む、人民元相場切り下げの影響で円安一服

先週のドル・円は伸び悩み。中国人民銀行(中央銀行)が11日に人民元の対ドル基準値(中心レート)を10日の1ドル=6.1162元から6.2298元に引き下げた(人民元安・ドル高に調整した)ことがきっかけとなり、ドル買い・円売りが優勢となった。人民元相場の実質的な切り下げは日本経済に悪影響を及ぼすとの思惑が浮上したことがドル買い・円売りにつながった。12日も人民元相場の切り下げが発表されたことでドルは一時125円28銭まで買われた。

しかしながら、米国の9月利上げは難しくなるとの観測が広がったことで12日の欧米市場でドルは一時123円79銭まで下げた。ただ、中国人民銀行は13日に人民元相場の安定を目指すことを表明し、過度の元安に対する懸念は和らいだ。また、7月の米小売売上高が期待通りの伸びを見せたことや14日の人民元の中心レートはやや元高に設定されたことを意識して、9月利上げ期待が再び高まり、リスク回避のドル売りは一服。ドル・円は124円台前半でこの週の取引を終えた。取引レンジは123円79銭-125円28銭。

■ドルは堅調推移か、米経済指標良好ならば126円到達の可能性

今週のドル・円は堅調推移か。引き続き米利上げの9月実施を見極める展開となりそうだ。住宅着工件数(18日)、消費者物価指数(19日)などの米主要経済指標が材料視される見通し。7月FOMC議事録公表(19日)も注目される。経済指標が9月実施を裏付けられる内容なら、ドルの上値を追う展開となり、年初来高値125円86銭を上抜けて、126円台に到達する可能性もある。

ただし、一部の市場関係者は中国人民元相場の動向を注目している、人民元相場が安定的に推移すれば、米9月利上げへの支援材料となりそうだが、ドル高・人民元安が再び進行した場合、9月利上げへの期待はやや後退し、リスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。人民元相場の動向をしばらく観察する必要はありそうだ。

【7月FOMC議事録公表】(19日)

7月28日-29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表された声明では、米経済と雇用市場は引き続き力強さを増しているとの認識が示されたが、利上げ時期については言明しなかった。今回公表される議事録では、インフレ見通しやドル高の影響などについての参加者の発言が注目される。ドル高が輸出を圧迫し、インフレ抑制の一因になっているとの見解が表明されていた場合、ドル売り材料となる可能性がある。

【米国経済指標】(18日:7月住宅着工件数、19日:7月消費者物価指数)

9月利上げへの期待が再び高まるなか、米経済指標が利上げを後押しできるか注目される。
・7月住宅着工件数:市場予想は120万戸で6月実績を上回る見込み。住宅市況はまずまず好調であり、予想通りならば9月利上げの可能性を高める一因となる。

・7月消費者物価指数:総合指数は前年比+0.2%で6月続いてプラスになる見込み。コア指数は前年比+1.8%と予想されており、物価上昇率は6月実績と同水準になりそうだ。総合指数の上昇率が予想通りであれば、インフレ鈍化懸念は後退し、利上げに向けた環境は整うことになりそうだ。

予想レンジ:123円00銭-127円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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